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ゼロパーティデータとは?集まらない原因と収集・取得設計のポイントを解説

Nari Fujiie

目次

顧客のことを知りたい。そのために「アンケートを取ろう」となる。フォームを作り、リッチメニューに置く。そして回答が集まらない。

ゼロパーティデータの難しさは、集める手段がないことではありません。顧客に「答えてもいい」と思ってもらう設計がないことです。本記事では、定義と違いを短く整理したうえで、「何を、いつ、何と引き換えに聞くか」という取得設計に紙面のほとんどを使います。

✅この記事の要点

  • ゼロパーティデータとは、顧客が意図的・能動的に企業へ提供するデータです。行動から観測するファーストパーティデータと違い、本人が申告する点が決定的に異なります。
  • ゼロパーティデータが必要な理由は、Cookieではなく「一斉配信が届かなくなったこと」にあります。
  • 集める難しさは手段ではなく設計にあります。聞く前に「答えたら何が変わるか」を決めていない質問には、人は答えません。
  • データの鮮度は落ちます。引っ越し、ライフステージ、好みの変化。取りっぱなしにすると、精度の高いはずのデータが最も的外れなデータに変わります。

ゼロパーティデータとは?

ゼロパーティデータとは、顧客が意図的・能動的に企業へ提供するデータです。アンケートの回答、好みの申告、興味関心の登録、購入意向などが該当します。

ファーストパーティデータと何が違う?

まず前提をそろえます。ファーストパーティデータとは、企業が自社の顧客接点を通じて直接取得するデータ全般です。閲覧履歴や購入履歴といった行動データだけでなく、会員情報や問い合わせ履歴、アンケートの回答も含まれます。

そのうえで、顧客が自分の意思で意図的・能動的に提供した情報を、とくにゼロパーティデータと呼びます。違いは観測されたものか、申告されたものかです。

  ファーストパーティデータ ゼロパーティデータ
関係 自社が直接取得するデータ全般 そのうち顧客が自ら申告したもの(別分類として並べる整理もある)
取得のされ方 自社の顧客接点から直接取得する 顧客が意図的・能動的に提供する
具体例 サイト閲覧、購入履歴、クリック、来店、会員情報、問い合わせ履歴 アンケート回答、希望条件、興味カテゴリ、購入意向
分かること 顧客の行動と属性 顧客の意向・目的・希望
取得の難易度 計測や登録の仕組みを整えれば貯まる 顧客の手間が発生するため、見返りの設計が要る
弱点 行動の背景や意図までは分からない 回答時点の意向であり、時間が経つと実態とずれる

なお、両者の関係には2つの整理が併存しています。 ゼロパーティデータをファーストパーティデータの一部として扱う整理と、ゼロ/ファースト/セカンド/サードの4分類として並べて扱う整理です。当社のファーストパーティデータとは?種類の違い・収集方法・活用戦略まで徹底解説では後者の4分類で整理しています。どちらで読んでも、申告か観測かという区別そのものは変わりません。

行動データは「何をしたか」しか教えてくれません。ベビー用品を見ていた人が、自分の子ども用なのか出産祝いなのかは行動からは区別がつきません。これを本人に聞けるのがゼロパーティデータの価値です。

ただし、本人の回答だからといって常に正しいとは限りません。 回答はあくまで回答時点の意向です。時間の経過や状況の変化で実態と合わなくなるため、取得日と更新時期を管理し、行動データと組み合わせて使う前提で設計してください(この点は後半で扱います)。

本記事は、そのうち「申告してもらうための設計」だけを深掘りします。

では、なぜゼロパーティデータなのか

理由は規制ではなく、届かなくなったことです。

当社が公開しているミルボンの導入事例では、Gmailの仕様変更の影響で、以前は高い開封率だったメールが「受信許諾顧客の6割程度にしか届かない」状況になったと記載されています(※5)。あわせて「会員の約50%がメール受信設定をオフに設定」していたことも記されています(※5)。この2つには比較期間や測定方法の記載がないため、同社の状況を示す数値として読んでください。

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届く相手が減るほど、1通の精度を上げるしかなくなります。その最短の方法が、推定をやめて本人に聞くことです。Cookieの話ではなく配信枠の希少性の話だと捉えたほうが、施策の優先順位を間違えません。

どうやって集める?

ここが本題です。「アンケート」「会員登録」「診断コンテンツ」と手段を並べても、回答は増えません。決めるべきなのは順番です。

まず「答えたら何が変わるか」を決める

顧客にとって、質問に答えることは一方的なコストです。見返りがなければ、回答されないか、適当に答えられます。適当に答えられたゼロパーティデータは、行動データより質が悪くなります。見返りには2種類あります。

見返りの種類 向いている質問 注意点
即時の対価 クーポン、ポイント、サンプル、抽選参加 属性、興味カテゴリなど答えやすいもの 対価目当ての回答が混ざる。重要な質問には使わない
体験の改善 「希望に合う情報だけ届きます」「サイズが合う商品だけ表示されます」 希望条件、除外したいジャンル、連絡頻度 約束した以上、必ず配信に反映する。反映しないと次から答えられなくなる

重要なのは後者です。「答えると自分向けの情報だけが届く」という体験を一度作れれば、次の質問への回答率が上がります。逆に、答えたのに関係ない配信が届き続けると、そのアカウントでは二度と答えてもらえません。

聞くタイミングと質問数を決める

一度に全部聞こうとすると離脱します。初回の接点ではまず1〜2問程度から始めると、顧客の負担を抑えやすくなります。ただしこれは目安で、適切な質問数はチャネル、見返りの大きさ、質問内容、回答にかかる時間によって変わります(当社の見解)。下表の「目安」もその前提でお読みください。

聞く前に、取り扱いの条件を決める

どのタイミングでも、利用目的の明示と同意の取得が前提になります。企業側で先に決めておきたいのは次の6点です(当社の見解)。

  • 取得する項目と、その利用目的を明示する
  • 配信の出し分けに使うことを、その場で説明する
  • 任意回答か必須回答かを、設問ごとに明確にする
  • 回答の変更・削除の手段を用意する
  • プライバシーポリシーへの導線を設ける
  • センシティブな情報は、そもそも取得する必要があるかを検討する

とくに家族構成やライフステージなど、プライバシーに関わる項目を取得する場合は、利用目的・回答の任意性・保管期間・変更や削除の方法を分かりやすく示してください。取得する情報は、施策に必要な範囲に絞ることが基本です。聞けることと、聞くべきことは別の問題です。

LINEではどう集められる?

LINEがゼロパーティデータの取得に向いているのは、質問と回答が同じ場所で完結し、その回答を次の配信条件にそのまま使えるからです。当社の公開事例から2つ紹介します。いずれも数値には算定条件の記載が限定的なため、自社の想定値としての利用は避けてください。

外部アンケートを顧客データと連携し、分析・配信に活用する(フィッツコーポレーション)

株式会社フィッツコーポレーションの事例では、「MAACのWebhook連携機能を活用し、外部アンケートツール「SurveyCake」と顧客データを紐付ける」運用と、「収集したアンケート回答も顧客データとして一元管理し、その後のセグメンテーションやパーソナライズ配信に活かすことができます」という説明が記載されています(※7)。

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参考になるのは、回答率を上げる工夫が具体的に書かれている点です。事例には「全設問数と所要時間を冒頭で明示したり、操作性を考慮したUI/UXを追求したり、回答しやすい簡単な設問から始めるなどの工夫を凝らし、高い回答率を達成しています。」とあります(※7)。なお、この「高い回答率」には具体的な数値の記載がありません。

「全設問数と所要時間を冒頭で明示する」は、見返りを増やさずに回答率を上げられる数少ない手です。コストが事前に分かれば、人は判断できます。

実際の設定手順はLINEアンケートの作り方・集計方法、回答をタグにする方法はLINEタグ付けとは?やり方・チャットタグの使い方から絞り込み配信・顧客管理までで解説しています。会員IDとの接続はLINE ID連携とは?やり方・メリットとブロック率を下げる成功事例をご覧ください。

集めたあと、どう管理する?

ゼロパーティデータには、あまり語られない弱点があります。データの鮮度が落ちるです。

行動データは常に更新されます。昨日サイトを見た記録は、昨日の事実として正しいままです。一方、2年前に「一人暮らし・都内・賃貸希望」と答えた人は、いま結婚して郊外に家を買っているかもしれません。精度が高いと信じているデータほど、ずれたときの影響は大きくなります。

対策は3つです(当社の見解)。

  1. 回答に日付を持たせる。 いつ答えられた情報かを記録しておかないと、古さを判断できません。
  2. 有効期限を決める。 興味カテゴリなら1年、ライフステージに関わる条件なら半年など、項目ごとに目安を決めます。
  3. 更新の機会を配信に組み込む。 「登録内容は今も合っていますか」と1問だけ聞く配信を、期限切れの人にだけ送ります。全員に送る必要はありません。

3つめは、前述の「一定期間ごと」の行に対応します。更新を聞くこと自体が、体験の改善を約束し直す機会になります。

ツールが担うのはどこか

ここで、LINEでできることを3段階に分けて整理しておきます。「アンケートを実施できる」ことと、「回答を顧客ごとに管理できる」こと、「回答を条件に自動で配信できる」ことは別です。

  • アンケートへの導線をつくる:LINE公式アカウントの標準機能の範囲で始められます
  • 回答を顧客ごとに保存し、タグとして管理する:利用する機能や外部ツールの確認が必要です
  • タグを条件に配信を自動で出し分け、期限切れを抽出する:外部ツールとの連携が前提になります

2段階目から先を手作業で回すのは、友だち数が数千を超えた時点で止まります。

クレッシェンドラボが提供するMAAC(マークは、製品ページで「AIマーケティング自動化ツール」と位置づけられているツールです(※8)。ゼロパーティデータの文脈で担うのは、次の4点です。

  1. 回答をタグとして保存する
  2. タグを配信条件として使う
  3. 外部アンケートツールや顧客データと連携する
  4. 取得から一定期間が過ぎた回答の更新対象を抽出する

他社ツールとの比較検討をされている場合は比較ページもご用意しています。


まとめ

  • ゼロパーティデータは、顧客が意図的・能動的に提供するデータです。行動から観測するファーストパーティデータとは、申告か観測かで区別されます。
  • サードパーティCookieは廃止されていません。Googleは2025年4月に現在の方針の維持を発表しています。Cookie廃止を前提にした説明は、前提が変わっています。
  • それでもゼロパーティデータが必要なのは、一斉配信が届かなくなり、1通あたりの精度を上げる必要が生まれたからです。
  • 集まらない原因は手段ではなく設計です。「答えたら何が変わるか」を先に決め、接点ごとに1〜2問へ分けてください。
  • 申告データは腐ります。回答に日付を持たせ、有効期限を決め、更新を聞く配信を組み込んでください。

4分類の整理と収集・活用の全体戦略はファーストパーティデータとは?種類の違い・収集方法・活用戦略まで徹底解説、集めたデータの統合はデータ統合とは?種類・メリット・仕組みから顧客データ活用まで完全ガイドをあわせてご覧ください。

自社でどこまで聞けるか、何から聞くべきかのご相談はお問い合わせからご連絡ください。各種お役立ち資料も無料でご覧いただけます。

よくある質問

Q1. ゼロパーティデータとファーストパーティデータの違いは何ですか?

顧客が自ら申告したものがゼロパーティデータ、自社が顧客の行動から観測したものがファーストパーティデータです。アンケートで答えた希望条件はゼロパーティデータ、サイトの閲覧履歴や購入履歴はファーストパーティデータにあたります。前者は「何を望んでいるか」、後者は「何をしたか」が分かります。

Q2. サードパーティCookieが廃止されるからゼロパーティデータが必要、という理解で合っていますか?

2026年時点では、その前提は成り立ちません。Googleは2025年4月に、Chromeにおけるサードパーティcookieの現在の方針を維持すると発表しており、廃止は行われていません。ゼロパーティデータが必要な理由は、一斉配信が届きにくくなり、1通あたりの精度を上げる必要が生まれたことにあります。

Q3. アンケートに答えてもらえません。どうすればよいですか?

質問の前に「答えたら何が変わるか」を決めてください。クーポンなどの即時の対価は答えやすい質問向きです。重要な質問には「答えると希望に合う情報だけが届く」という体験の改善を用意し、約束したとおりに配信へ反映してください。反映されないと、次からは答えてもらえなくなります。あわせて、設問数と所要時間を冒頭に明示すると判断しやすくなります。

Q4. 一度に何問まで聞けますか?

接点ごとに1〜2問に分けるのが現実的です(当社の見解)。友だち追加の直後は1〜2問、初回購入後は1問、キャンペーン参加時は2〜3問、というように分散させます。一度にまとめて聞こうとすると離脱率が上がり、結果として得られる情報はかえって少なくなります。

Q5. 集めたゼロパーティデータは、どのくらいで古くなりますか?

項目によります。興味カテゴリなら1年、居住形態や家族構成などライフステージに関わる条件なら半年程度を目安に見直すことをおすすめします(当社の見解)。重要なのは、回答に取得日を持たせ、期限切れの人にだけ更新を聞く配信を組み込むことです。精度が高いと信じているデータほど、ずれたときの害は大きくなります。

Q6. 標準のLINE公式アカウントだけで集められますか?

リサーチ機能を使ったアンケートの実施までは標準機能でも可能です。一方で、回答内容を顧客ごとのタグとして保存し、そのタグを配信条件に使い、回答からの経過日数で対象を抽出するといった運用には、外部ツールとの連携が必要になります。まず標準機能で聞くところから始め、回答を配信に反映する段階で検討するのが順当です。

出典

本記事はクレッシェンドラボが作成しています。記事内では当社製品であるMAACを紹介していますが、アンケートの実施自体はLINE公式アカウントの標準機能でも始められます。事実に関する記述は上記の公式ページおよび公開事例の記載にもとづいており、当社の見解にあたる部分はその旨を明記しています。掲載事例の数値は、いずれも算定条件の記載が限定的なため、自社の想定値としての利用は避けてください。