【徹底解説】マーケティングDXをLINEで実現(2024年版)
LINEマーケティング • 2024/11/18 9:36:58 • Written by: Kohyoh Hayashi
新型コロナウイルスの拡大により、多くの企業が顧客行動の急変への対応を余儀なくされました。そして、アプリやECサイト、セルフレジ、宅配サービスなど、素早く対応した事業者が、コロナ禍が落ち着いた後も成果を上げ続けています。 また、多くの企業がリモートワークやハイブリットワークを取り入れ、完全にフルリモートワークにシフトした企業も少なくなく働き方も急変しました。 このような変化により、BtoC・BtoBに問わず、デジタルマーケティングからマーケティングDXへ取り組む企業が増えています。本記事では、マーケティングDXの基本情報から、LINEを切り口に事例やヒントを解説します。
目次
- マーケティング DXとは?
- マーケティングDXはなぜ重要?
- マーケティングDXの3大メリット
- マーケティングDXを推進する上での3つの課題
- 企業のマーケティングDX事例
- マーケティングDX成功のヒント
- まとめ
マーケティング DXとは?
DXとは?
まずDXの定義を踏まえて、マーケティングDXについて解説します。DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略です。「Digital Transformation」の頭文字を取ると「DT」になりますが、英語圏では接頭辞の「Trans」を「X」と書く慣習があるため、「DX」と表記されます。
DXの定義は、「組織やビジネスのプロセスをデジタル化させるだけではなく、変革を起こすこと」です。簡単な言葉でまとめると、「テクノロジーを使って、より多くの利益を上げること」と言えます。このテクノロジーはデータやデジタル技術を指し、ITが得意するマニュアル化のような改善だけではなく、顧客対応の差別化や業務の無人化のような抜本的な変革を可能にします。
DXについて詳しく知りたい方にはこちらの記事がおすすめです:DX(デジタルトランスフォーメーション)徹底解説!
マーケティングDXとは?
では、マーケティングDXについて説明します。マーケティングDXとは、デジタル技術を活用して、変化の激しい顧客行動と密接に関わるマーケティング活動全体を変革し、顧客との関係や体験を最適化することです。マーケティングのプロセスや方法を根本からデジタル化・自動化することで、顧客体験の向上や、売上の最大化を図ることができます。
マーケティングDXとデジタルマーケティングとの違いは?
マーケティング業界では、デジタルマーケティングというワードはすでに一般的です。
デジタルマーケティングは、インターネットやSNSなどのデジタルチャネルを活用して、商品やサービスを効果的にプロモーションするための活動を指します。従来のマーケティング活動をオンライン上で実施することが主な目的であり、顧客の目に触れるポイントや接点をデジタルチャネルに置き換えた形です。
一方、マーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)は、マーケティング活動全体をデジタル技術を活用して根本から変革することを指します。単なるデジタルチャネルの利用にとどまらず、データ活用や業務プロセスの自動化、顧客体験のパーソナライズを通じて、マーケティングの在り方そのものを変革し、企業の競争力を強化することを目指しています。
データを分析、活用して根本的なビジネスや組織の変革につなげるのが、マーケティングDXであり、ここがデジタルマーケティングとの大きな違いです。
このように、マーティングDXはデジタルを活用したマーケティング業務変革であることに対し、デジタルマーケティングはデジタル技術を活用した個々のマーケティング施策を指します。よって、マーケティングDXは、デジタルもアナログも含めたマーケティング施策全体を活用し、組織そのものの最適化も含みます。
たとえば、これまで店舗型ビジネスをやっていて、そこにECサイトを加えると、顧客は営業時間の制約と商圏の制限がなくなりいつでもどこでも注文できるようになります。 ここにさらにECサイトでご注文の商品を店舗でのお渡しを可能にしたり、店舗に在庫がない場合にはECでの購入をオススメしたり、オンラインとオフラインを統合するOMOを採用し始めると、デジタルを活用したマーケティング業務変革、つまりマーケティングDXと言えます。
マーケティングDXでどんな変革が起こる?
マーケティングDXは、データ活用、パーソナライズ、業務の自動化、オムニチャネル対応などを通じて、マーケティング活動を従来の枠組みから変革します。この結果、顧客体験はより一貫性があり個別化され、企業は効率的なマーケティング活動を通じて顧客との長期的な関係を築き、競争力を強化することが可能になります。
たとえば、ショッピングサイトを展開するAmazonでは、顧客データを活用し、ユーザーごとにカスタマイズされた商品レコメンデーションを提供しています。顧客が過去に閲覧・購入した商品や検索行動のデータを活用して、次に買いたくなるような商品を自動で表示します。このパーソナライズドなレコメンド機能により、顧客満足度が高まるとともに、購入意欲も促進され、売上増加に貢献しています。また、Amazonのレビューシステムも顧客の意見を収集し、リアルタイムで反映できるため、信頼性の向上にもつながっています。
マーケティングDXはなぜ重要?
「2025年の崖」
マーケティングDXが重要である理由は、現代のビジネス環境が急速に変化し、従来のビジネスモデルや業務プロセスがもはや通用しなくなっているためです。こうした状況を裏付けるものとして、経済産業省が発表した「2025年の崖」があります。経済産業省は「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」の中で、『2025年の崖』を発表しました。この概念は、2025年までにDXを進めなければ、日本企業が大きな経営リスクに直面し、経済的損失が年間で最大12兆円に達する可能性があると警告しています。
「やるかやらないか」ではなく、「いかに早く始めるか」
また、新型コロナウイルスの流行を機に、マーケティング手法が変わったことも念頭に置く必要があります。電通が発表した日本の広告費によれば、2021年に「インターネット広告費」はついにマスコミ4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)の合計をも追い抜き、現在では全体の約40%を占めています。BtoB企業においても、これまで展示会やセミナーなどによる顧客との直接コミュニケーションが中心だったものが、デジタルシフトしてきています。さらに、ネット広告はあまりお金をかけたくないマーケターの心を掴んでいます。、LINE CRMやSalesforce CRMなどのツールを通じて、マーケティングDXの重要なコンセプトであるCRMを導入し、会員管理や旧来の顧客関係維持を実現する企業が多くなってきています。企業のDXは選択肢ではなく、もはや生き残るための必須条件です。そのため、**「やるかやらないか」ではなく、「いかに早く始めるか」**が鍵となります。
参考:「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
マーケティングDXの3大メリット
マーケティングDXに取り組むとどのようなメリットがあるのでしょうか。
マーケティングDXを推進することで、「業務を効率化できる」、「顧客一人一人に最適化した顧客体験を提供できる」、「効率的にリソースを配分できる」という3つのメリットが考えられます。LINE施策における実際の事例を踏まえて説明します。
業務を効率化できる
マーケティングDXによって、メール配信やSNS投稿などのマーケティング業務を自動化することで、より戦略的な業務に集中できるようになります。これにより、チームメンバーはより生産性の高い戦略に専念することができ、全体的な生産性が向上します。
例えば、株式会社スパイスワークスではメニュー表改定の負担やスタッフの工数削減などを目的に、「牡蠣ビストロ 貝殻荘 飯田橋サクラテラス店」にモバイルオーダー(店内注文)機能を持つ「ダイニー」のLINEミニアプリを導入しました。その結果、注文の約7割がダイニー経由で入るようになり、スタッフの業務も効率化。また、スムーズに同社のLINE公式アカウントを友だち追加できる仕組みを整えたことにより、約1カ月で1,000人以上の新規の友だち追加があり、その後も順調に増え続けています。さらに「LINEで予約」を使って季節限定メニューの紹介と再来店を促すメッセージを配信したところ、他の「LINEで予約」導入企業とくらべて約4~10倍の予約率を記録しました。
参考:「LINEで予約」と「LINEミニアプリ」を利用して、予約率が他企業平均の4〜10倍!ウィズコロナにおける居酒屋のLINE活用
顧客一人一人に最適化した顧客体験を提供できる
マーケティングDXによって、顧客データを集約し、分析することで、顧客のニーズや行動パターンを把握しやすくなります。たとえば、顧客が閲覧したWEBページや購入履歴、担当者とのチャットなどのデータを統合・管理するこることで、最適な接客や提案を行うことができます。これにより、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたマーケティングが可能になります。
例えば、NTTドコモはdポイントクラブの拡大に向け、2020年7月にLINE公式アカウントを導入。dアカウントの会員データとLINEアカウントのID連携を推進して、One to Oneコミュニケーションの実現を目指しています。ID連携を推進することで、友だちとなっているLINEユーザーがどのようなサービスを好んで利用しているのか、興味があるサービスや店舗はどこなのかといった傾向がdアカウントの会員情報や行動、決済履歴をもとに可視化できるようになりました。NTTドコモではこの情報を基にユーザーの好みや利用状況に応じたメッセージを出し分けています。
参考:目標は「みんなが勧めたくなる、一人ひとりに寄り添うアカウント」――LINE公式アカウントで実現するdポイントクラブのOne to Oneコミュニケーション
効率的にリソースを配分できる
AIや機械学習を活用して、マーケティングキャンペーンの成果を予測したり、最適なチャネルやタイミングを見極めたりできるため、マーケティングコストを抑えながら最大の効果を得ることができます。従量課金であるLINEにおいても、データを活用することで、有効なユーザーや情報を配信したいユーザーにだけメッセージを配信することができ、中長期的には効率的にマーケティングを行うことができます。
例えば、排水圧送ポンプを販売するSFA Japan株式会社は、一般的な認知度の低い製品を訴求するため、LINE広告を活用しました。自社で運用を行うにあたり、初期設定代行サービスを利用し、クリック単価4円以下という低コストで効果的な運用を実現しています。これにより、マーケティングコストを抑えられ、新商品の開発などその他のリソースにコストと時間をかけることが可能になりました。
参考:LINE広告でニッチ製品の認知度向上へ マイクロコンバージョンで最適化するBtoB商材の戦略
マーケティングDXを推進する上での3つの課題
マーケティングDXを推進する際には、以下の3つの主要な課題が挙げられます。
- データの収集・統合と管理
- DXに対応した人材の不足
- 社内文化と組織体制の変革
データの収集・統合と管理
顧客データは様々なチャネルやシステムに分散しており、それらを統合することが難しい場合があります。データの一元管理を進めなければ、顧客を正確に理解したパーソナライズ施策は実現しにくくなります。また、プライバシー保護のための適切なデータ管理も重要です。これはさまざまな情報を一元的に管理できる外部ツールの利用をおすすめします。
DXに対応した人材の不足
DX人材の不足も深刻な課題です。マーケティングDXを進めるには、データサイエンスやデジタル技術に精通した人材が不可欠です。しかし、これらのスキルを持つ人材は不足しており、需要が高まっているため、採用も難しいのが現状です。社内でのスキルアップや外部人材の活用が求められることが多いです。そのため、適切な人材の採用や育成が課題となります。そこで、注目されているのがMA(マーケティングオートメーション)ツールです。社内の育成よりも早く、外部人材の活用よりも安く、マーケティングDXを始めることができます。
社内文化と組織体制の変革
DXを推進するためには、組織全体でデジタル活用を推進する文化が不可欠です。しかし、デジタルやデータになじめないメンバーからの反発を招き、変革が進まないケースも多く、トップダウンでの指導や部門間の協力体制を築くことが重要です。また、マーケティングDXでは全社的な情報を統合・活用します。そのためには、統括するマーケティング組織に投資する必要であり、全社的な戦略を司る組織体である必要があります。
企業のマーケティングDX事例
顧客とのコミュニケーションを強化
老舗ディスカウントストア多慶屋はMA(マーケティングオートメーション)ツールを活用し、LINEマーケティングで友だち獲得やエンゲージメントを強化しています。ゲームやクーポン機能を使い、LINE登録者増加と店舗への集客を実現するだけでなく、クーポンの簡単発行と多言語対応で、国際旅行イベントでも大きな成果を上げました。こうした施策により顧客とのコミュニケーションを強化し、オンラインからオフラインへ効果的に誘導しています。
顧客層に応じた情報発信と購買促進
デニムブランドYANUKは、MAツールを活用して、LINEリッチメニューのタブ切り替え機能や商品レコメンド配信を強化し、顧客層に応じた情報発信と購買促進を実現しています。また、AIでのインタラクション分析を通じて、精密なターゲティングと顧客エンゲージメントを向上させています。マーケティングDXに成功したことで、LINE運用にかかる負担やマーケティングにかかる人的リソースを大きく軽減すことができました。
参考:「リッチメニューでも活用の仕方次第で購買までいける!」 YANUK 牧様に聞くMAAC活用のコツ
低コストでLINEマーケティングを実現
応援購入サイトであるマクアケは、MAツールを活用して、LINEでのくじ引き施策を展開し、顧客エンゲージメントを向上させています。特にGA4との連携で収益の可視化を図り、リターゲティングも低コストで可能にしました。この施策は、定期的にLINEアカウントを訪れる動機づけとなり、ROIの向上にも貢献しています。
参考:「MAACは様々な施策を低コストで実現できるツール」マクアケ照屋様に聞くMAAC活用のコツ
マーケティングDX成功のヒント
ここまでマーケティングDXについて説明してきましたが、メリットがある反面、推進する上で課題があることも明らかになりました。では、マーケティングDXを成功させるためには、どうすればいいのでしょうか。
- 顧客視点を重視:顧客データを活用し、個々に合わせた体験を提供する。
- 全社的な協力体制:DX推進はマーケティング部門だけでなく、全社でのサポートが重要。
- 外部のサポートを取り入れる:スキル不足や時間的コストの点から社内リソースだけでは難しい。コンサルタントや外部ツールの活用が必須。
顧客視点を重視
顧客のニーズに合わせた個別体験を提供するために、データを収集・分析し、カスタマージャーニーを精緻化します。これにより、ターゲット顧客への最適なタイミングでのアプローチが可能になります。
全社的な協力体制
DXはマーケティング部門単独の取り組みではなく、IT・営業・製造などすべての部門と連携することで一貫性のある体験を提供します。また、DXの重要性を組織全体で理解し、全社員が目標に向かって協力する文化を築くことが重要です。
外部サポートの活用
社内リソースや専門スキルが不足している場合、外部の専門家やテクノロジーパートナーを活用することで効率化が図れます。外部支援は最新技術の導入や実践的なノウハウを取り入れるのに役立ち、リスク低減にもつながります。リスクを低減させながら、マーケティングDXの成功を導くためにおすすめなのが、外部ツールの導入です。マーケティングDXのデジタル分野に特化しているだけでなく、外部の専門家に比べてコストが低いです。また社員の急速な育成のような、社員への負担も最小限に抑え、効率的にマーケティングDXをスタートできます。特に、分析やオートメーションの機能を持つツールを使うことで、より高度なマーケティング戦略を実現できます。
まとめ
マーケティングDXは、現代のマーケティングにおいて欠かせない変革です。デジタル技術を駆使して顧客の行動をリアルタイムに把握し、最適なタイミングで最適なメッセージを提供することで、顧客体験が大きく向上します。しかし、成功するためには技術導入だけでなく、組織体制の整備や人材育成、さらにはデータの収集・統合と管理も重要です。
そこで簡単に導入できるのが、LINEです。LINEを外部ツールと組み合わせ、効果的に活用することで、顧客との関係性をより深化させることができます。
クレッシェンド・ラボでは、LINEの公式アカウントアンケートの実施からオートメーションツールを活用したLINE公式アカウントの運用まで徹底的にサポートします。LINE公式アカウント向けの総合マーケティングツール「MAAC」およびカスタマーサポートツール「CAAC」を活用し、ビジネスの成長を一緒に目指しましょう。
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