株式会社多慶屋では、LINE 公式アカウントを活用した顧客コミュニケーションに力を入れてきました。しかしその道のりは決して平坦ではありませんでした。
「誰に、何を、どう届ければ反応してもらえるのかが分からない」
そんなマーケティング課題に直面していた同社が、Crescendo Lab の MAAC 導入により、ユーザー一人ひとりの“興味関心”を可視化し、的確なアプローチを実現していった過程を、マーケティング ソリューショングループマネージャーの馬 躍原(マ ヤクゲン)氏に伺いました。
セグメント設計の精度が変えた、マーケティングの成果
「導入前は、パーソナライズ配信に苦戦していました。全体配信をしても反応は鈍く、ブロック率も気になっていたんです。」と馬氏は振り返ります。
そんな中、導入されたのが MAAC の「タグ管理機能」でした。ユーザーがどのリッチメニューを押したか、どんな配信に反応したかといった行動データをもとに、タグが自動で付与されていく。その結果、自然と「クーポン未使用者」「誕生月ユーザー」「ファッションに興味がない人」といった細かなセグメントが形成されていきました。
「それぞれのセグメントに合わせて、内容もタイミングもパーソナライズできるようになった結果、開封率や反応率がぐっと上がったんです。特に誕生月キャンペーンでは、24 年 12〜25 年 1 月配信実績において開封率平均 75.6% を記録しています。」
“誕生月×来店動機づくり”で、顧客との距離が縮まる
セグメント活用で特に効果を感じたのが、誕生月を迎えるユーザー向けの施策でした。
「配信を見て、店頭で会員証を提示してくださるお客様が増えました。最大 10 倍ポイント還元とジュエリー用クーポンという“来店の理由”を明確に打ち出したことで、実際の購買につながった感覚があります。」
また、特定商品の購入履歴をもとにしたクーポン配信も実施。購買後の再来店施策として有効に機能しており、売上の底上げにも貢献しています。
「遊び心」がシェアとエンゲージメントを生む
MAAC での取り組みの中でも、特に印象深いのが「毎日無料で遊べるルーレット施策」でした。ユーザーはLINE上で1日1回ルーレットを回し、ポイントを獲得できます。
「反響は想像以上でした。参加率が高く、ゲームに設置した“友だちにシェアする”ボタンは、平均で月300 回以上も押されています。」
単なる情報配信ではなく、ユーザーとの接点を“楽しい体験”に変えることで、継続的な関係構築と新規友だち獲得の両方を実現しています。
リッチメニューの進化で、導線と訴求力を強化
ユーザー体験を支えるもう一つの重要な仕組みが、リッチメニューのタブ切り替え機能です。
従来のメニュー表示に加え、メイン/マルチのタブを切り替えられることで、キャンペーンバナーやイベント情報をより視覚的にわかりやすく設置できるようになりました。
さらに、タブごとの訴求に合わせて「キーワード応答による特典配信」も可能に。たとえば、バナーをタップした後に表示されるキーワードを送ると限定クーポンが届くといった体験設計が、ユーザーの自発的な行動を促すトリガーとなっています。
配信の期間設定や利用条件の管理も柔軟に対応できることから、運用効率と効果測定の両面で高く評価されています。
“見えなかったもの”が見えるようになったことで変わったこと
ユーザーの興味関心に基づいた精密なセグメント配信や、ルーレット施策のようなエンゲージメントを高めるインタラクティブな体験、さらにタブ切り替え機能を活用したリッチメニューでの導線設計・特典誘導の工夫により、LINE 配信の開封率は 66.35%、ブロック率は 11.55% という顕著な改善を実現しました。
「何より大きいのは、“誰に何を届けるか”を迷わなくなったこと。感覚ではなく、データに基づいて設計できるようになったのが大きいですね。」
今後は“顧客理解の深化”へ
今後は、LINE 上での購買履歴やアンケートデータを掛け合わせて、さらに精緻なセグメントを設計していく予定です。
「タグやクーポンだけじゃなく、よりインタラクティブなコンテンツにも挑戦していきたいです。最終的には、CRM 全体の質を高めるために、MAAC を中核に据えていければと考えています。」
まとめ
「誰に、何を、どのタイミングで届けるか」が“見える”ようになったこと。それが、多慶屋のLINEマーケティング成功の鍵でした。
データに裏付けられた施策と、ユーザーとの遊び心ある接点設計。
その両輪を支えるのが、Crescendo Lab の MAAC です。

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