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D2Cとは?従来の販売モデルとの違いやメリット・注意点を解説

Kosuke Bu

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D2C(DTC)とは、メーカー(生産者)が消費者に直接販売する事業モデルのことです。この記事では従来のB2BやB2Cモデルとの違いやその位置づけに加え、注目を集めている成功事例についても分かりやすく解説します。

自らブランドを立ち上げ、商品を企画・販売したいといま考えていらっしゃる方は、是非この記事を最後までお読みください。

【目次】

D2Cとは

D2Cとは「Direct to Consumer」の略であり、企業が消費者に自社製品を直接販売するビジネスモデルのことを指します。

似た言葉としてB2CやB2Bなどがありますが、D2Cとの違いについて、これからD2Cの運営を始めたい方にもわかりやすく、図や例を参照しながら詳しく説明していきます。

D2Cと従来のB2B2Cの違い

D2Cモデルと従来のB2B2Cモデルの比較を以下の表にまとめました:

  B2B2C D2C
顧客データの取扱 委託/仲介業者から提供されたデータのみ使用可能

顧客から直接提供されたすべてのデータが使用可能

主な顧客層 ECモールのユーザー メンバーシップ登録済み会員
主なマーケティング方法 ECモール上の競合商品との価格競争 それぞれの顧客に合わせたパーソナライズマーケティング
ブランドイメージの構築 ECモールによるが限られたマーケティング手法 複数のチャネルを活用するなど、自社で調整が可能
ブランド管理の焦点 ECモール中心 消費者中心

従来のB2B2CがAmazonや楽天など大型ECモールを経由して消費者に製品を販売するのに対し、D2Cは自社サイトやSNSなどを利用して直接製品を販売することを指します。

また、B2B2CとD2Cはそれぞれ定義として別のものを指しますが、ひとつのECサイトの中にそれぞれのビジネスモデルが混在している場合もあります。

例えば、ZOZOTOWNは大型国内ECサイトですが、販売している会社の中にはZOZOTOWNに仲介販売を委託し、製造元が別の会社である場合(B2B2C)や、2021にアパレルブランドを立ち上げたいインフルエンサーと協働し、『YOUR BRAND PROJECT』という消費者の好きな洋服を作る事業(D2C)を始動させるなど、このようにひとつのECサイトの中に複数のビジネスモデルが混在している場合もあります。

D2Cの特徴

「Direct to Consumer」という定義からもわかる通り、消費者に直接情報を伝えられることがD2Cの大きな特徴です。お客様に向けての情報伝達をどのように立てていくが最も重要であり、D2C運営のカギとなります。例えば、以下のようなマーケティング戦略が考えられます:

  1. クロスチャネル配信
    複数のチャネル上で発信することでより多くの顧客に情報を届けることができます。
  2. 各チャネルでの顧客データを統合
    それぞれのチャネルで獲得した顧客データを統合することで、包括的なデータ分析が可能になります。
  3. 統合したデータをマーケティングに活用
    データを分析し次のコンテンツに適用したり、取得したデータを基にセグメント配信することが可能です。

D2Cのメリットと注意点

次にD2C運用におけるメリットとデメリットをそれぞれ3つご紹介します。

D2Cのメリット①:収益性が高い

D2Cは、仲介業者を通さずに販促を行うため、支出面での経費カットが見込めます。

例えば、ECモールなどの大型プラットフォームで販売を行う場合、販売手数料がかかったり、場合によっては配送代行手数料がかかる可能性があります。しかし、自社サイト等で販売する場合、そういった仲介手数料を払わずに済むため、より安い価格で消費者を惹き、結果的に高い収益性を実現できます。

:株式会社PURCHASEは、D2Cビジネスモデルを導入し、市場価格が約6000円の市販コンタクトレンズ(1ヶ月分)を約半額である月額3500円で提供するコンタクトレンズ定期便サービス「concle」を販売したことによって、大幅な売上アップを実現できました。

D2Cのメリット②:高自由度な販売ができる

上記にも述べた通りD2Cでは、消費者と直接やり取りをすることができるため、商品を販売する際の自由度が高いです。

B2Cの場合、販売サイトはフォーマットに従ってある程度固定されているため、比較的融通が利きづらいのが問題として挙げられます。

一方、自社のECサイトで販売する場合、独自のキャンペーンやイベントを行うことができるため、マーケティング戦略に合わせた販促を行うことが可能です。

オーダーシャツやオーダースーツを揃えるD2Cブランドの「FABRIC TOKYO」は、オンライン販売だけでなく実店舗では布地見本やスタッフ採定を受けることを可能にし、一部の地域では出張採定サービスも提供しています。これにより、オンラインと実世界両方から顧客に接するモデルを確立しています。

D2Cのメリット③:顧客データを収集できる

D2C と従来の B2B2Cを比較

D2Cはオンラインを中心としたサービスであるため、商品配送のために顧客情報の入力をお願いする必要があります。携帯電話番号や住所、嗜好などのデータを持つと、企業は消費者の特性を知ることができます。これらの情報をLINE公式アカウントなどのマーケティングツールに利用すると、

どの時間にどのお客様、そしてどの情報を送るか、を把握できます。商品や企業へのエンゲージメントを高めることができ、リピート購入や企業/製品の評価UPにつながります。また、既存商品の改良や新商品の開発が容易になり、常に満足度の高い商品を提供することが可能となります。

:Crescendo Lab開発のLINE機能拡張ツール「MAAC(マーク)」は、LINE友だちを管理・分析し、自動的にお客様の好みに合う商品を提案する「商品レコメンド配信」「セグメント配信」や、お客様が最も開封しそうな時間に送信する「自動送信機能」を提供します。また、電話番号を持つだけでできるSMSとLINEのクロスチャネルマーケティングサービス「SMS+」機能も実装する予定です。

MAACを使ってD2Cをより手軽に

当社開発のLINE拡張機能ツール「MAAC」は、LINEを活用したマーケティングプラットフォームとして、ゲームテンプレートやAIを活用した自動返信機能など、多様なツールを提供しています。顧客とのコミュニケーションをより楽しく、効果的なものにすることが可能です。例えば、クイズ形式のキャンペーンやポイントを貯めて特典と交換できるミニゲームなど、顧客の興味を引くようなコンテンツを当社が用意した既存モジュールを使ってプログラミングなしで簡単に作成できます。

また、AIによる高度な分析に基づき、顧客一人ひとりに最適なタイミングを計算し、最も読んでもらえそうな時間に、パーソナライズされたメッセージを送信する「セグメント配信」も可能です。

他にも、ECサイト内で商品をカートに入れたが何らかの理由ですぐに購入せず、商品がそのまま入っている場合、一定の時間が経過した後、リマインド配信を行い、カゴ落ち対策が可能です。

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D2Cの注意点①:B2Cよりも難易度が高い

オンラインショッピングが普及した現在、消費者に選ばれるためには、商品自体が優れるだけでなく、ブランドの世界観を築き上げることがとても重要です。

特に自社サイトで商品を販売する場合は、消費者に商品を見つけてもらうプロセスが特に重要です。さらに、消費者が商品を購入するプロセスに至るには、商品が認知された後も、友だち獲得やシナリオ配信など様々な方法を駆使して、顧客のニーズに合った商品情報を発信する必要があります。

D2Cの注意点②:顧客開拓にコストがかかる

Amazonなどの大型プラットフォームで仲介販売委託する場合、既に知名度が高いケースが多く、広告を出す場合以外は、企業側から特別に顧客開拓のためのお金を投資する必要はありません。

D2Cビジネスは、仲介販売業者に頼らない代わりに、自ら顧客開拓しないといけないため、その分マーケティングに使うコストが高まります。

D2Cの注意点③:SNSの活用が不可欠となる

D2Cビジネスの顧客獲得の最も効果的な方法はSNSです。

現在では、InstagramやTik Tokを始めとしたSNSで情報収集する消費者が増え、SNSでの情報発信、消費者とのコミュニケーションを取ることはとても重要になっています。例えば、インフルエンサーを起用し、YouTube、InstagramやTik Tokでライブ配信中に商品紹介させる企業が増えてきています。

注意点として、このような施策の効果が出るまでに時間がかかります。これからビジネスを始める場合においては、特に時間をかけてこの過程を乗り越えていくことになるでしょう。

D2Cの注意点④:D2Cと商品の相性が大事

D2Cには向き不向きがあります。相性の良い商材は、単価が高く、または一定周期で消費され、繰り返し購入が期待できる商品です。

これは、商材のLTV(ライフタイムバリュー)と強く関連しています。

LTVとは、顧客生涯価値と言う意味を持ち、一人の顧客が、企業と取引を開始してから、その取引が終了するまでの間に、企業に対しどれだけの利益をもたらすのかと言う、顧客一人の収益の総額を算出する指標です。

MAACを使ってLTVを最大化しよう!

LINEマーケティングでは友だち限定のクーポンを配布したり、ゲーム要素を取り入れた特典など、見込み客に対して訴求しやすいことが特徴です。公式ホームページ内に友だち追加を促すウィジェットを設置するなど、既に商品に対して興味がある顧客に対しても呼びかけを行うことができるため、LINEマーケティングを活用することは、D2C運営をする上で効果的な顧客獲得方法の一つです。

クレッシェンド・ラボ代表取締役薛覲(シュエ・ジン)は、顧客獲得に高いコストを負担するような課題に対し、2022年の発表会にて以下の解決策を示しました。

「1つはより安価なトラフィックソースを見つけること、もう1つは顧客ロイヤルティ(会員特典を設けるなど)に投資し、顧客生涯価値(LTV)の向上を図ることです。 後者は、ブランドが消費者と直接やり取りを行います。消費者のデータを入手している場合、正確なデータ分析を行い、より効率的なマーケティングを行い、消費者との深い長期的な関係を築く機会があるため、DTCのビジネスモデルにより適した戦略です。」

(筆者翻訳)

 

つまり、D2Cモデルを運用するには、LTVをいかに伸ばすかがとても重要になってきます。

jin2株式会社クレッシェンド・ラボ代表取締役 薛覲(シュエ・ジン)

MAACはLINE上の顧客とのインタラクションから得られる豊富なデータを、ECサイトやCRMなどの既存システムとシームレスに連携させることで、顧客一人ひとりの詳細なプロファイルを構築します。この360度ビューに基づき、顧客を多様な属性でセグメント化し、パーソナライズされた商品推薦やタイムリーなキャンペーンの配信など、顧客一人ひとりに最適なマーケティング施策を実行できます。結果として、顧客との関係性を深め、長期的な顧客ロイヤリティを醸成することで、LTVを最大化することが可能です。

また、MAACの新機能「SMS+」を利用すると、お客様の端末にSMSプロモーションメッセージが届きます。開封率が90%をも超えるSMSは、大型仲介販売プラットフォームでトラフィックを獲得できない欠点を補えます。さらに、電話番号のみでLINE公式アカウント経由でメッセージを送信する「LINE LON」も利用できます。

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EC業界における近年の傾向

次に、D2Cと密接に関わるEC産業の市場規模について、D2Cの現状やどのような事業がD2Cに向いているのか、近年の傾向について紹介します。

D2C/EC市場規模について

経済省が2024年9月25日に発表した令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果をもとに要点をご紹介します。

2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、市場最高の約25 兆円(前年比9.23%増)に拡大しています。表1

(引用:BtoC-EC市場規模の経年推移 単位:億円

また、EC 化率 は、BtoC-EC で 9.38%(前年比 0.25 ポイント増)と増加傾向にあります。

表3

(引用:BtoC-EC市場規模の経年推移 単位:億円

物販系分野の BtoC-EC 市場規模の内訳をみると、「食品、飲料、酒類」、「生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等」、「衣類・服装雑貨等」、「生活雑貨、家具、インテリア」の割合が大きく、これらのカテゴリーが物販系分野の 73%を占めています。 EC 化率については、「書籍、映像・音楽ソフト」(53.45%)、「生活家電、AV 機器、PC・ 周辺機器等」(42.88%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(31.54%)において高い数値となっ ています。

表2

表4

また、増減率ではサービス系分野が22.27%と最も顕著な成長を示しています。市場規模内訳を見ると、「旅行サービス(31,953億円)」が大きな割合を占めています。令和5年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に落ち込んでいた旅行サービス、飲食サービス、チケット販売が昨年に引き続き大きく増加しました。

中国・米国との比較

ECの市場規模を世界で見ると、アメリカが最も高く、次いで中国というような動態になっています。表7

(引用:日本・米国・中国3カ国の越境EC市場規模

また、日本・米国・中国の 3 か国間における越境 EC の市場規模は、いずれの国の間でも増加しました。なお、中国消費者による日本事業者からの越境 EC購入額は 2兆4,301 億円(前年比7.7%増)、米国事業者からの越境 EC 購入額は 2兆9,610 億円(前年比7.7%増)であり、昨年に引き続き増加しています。

D2C導入までのステップ

1. デザインに独自性を出す

ECサイトを訪れた際に「このブランドだ」と一目で分かるような独自のデザインを確立することが重要です。ロゴや商品写真、テキストのフォントや配色、バナーのデザインテイストに一貫性を持たせ、ブランドの個性を際立たせましょう。

また、写真、文章、動画を活用し、顧客の感情に訴えかけることでブランドの存在意義を伝えましょう。商品の開発理由や、既存の他商品との差別化ポイントを明確に示すことで、信頼や共感を引き起こし、顧客に「この商品が自分に必要だ」と感じてもらうことが大切です。

ブランドの世界観を発信すると同時に、新商品やキャンペーンといったお得な情報も積極的に発信しましょう。さらに、コーディネート例や商品の使用方法など、顧客に役立つコンテンツを定期的に投稿することで、タイムライン上での顧客接点を増やし、フォロワーの拡大を図れます。


2. オムニチャネルを視野に入れよう

D2Cチャネルをスタートするにあたっては、既存の流通業者とのB2Bチャネルとの関係とバランスを検討する必要があります。

D2Cの最大の利点は、販売サイトに縛られないことです。コンテンツを活用することでブランドのイメージを向上させることができ、ECサイトで幅広い商品を揃えたり、オンライン限定商品を販売したりすることも可能です。

そして、これらの施策は既存チャネルを利用する顧客にも「情報の提供」という形で効果をもたらします。たとえば、顧客が店舗で商品を手に取りながら、同時にECサイトで詳細情報を確認できれば、購買意欲を後押しすることが可能です。D2Cだけに頼るでなく、複数のチャネルをそれぞれの役割を考えた方が、ブランド全体に利益をもたらすといえます。


3. 広告を活用したリーチ拡大戦略

ブランドの認知度が低いフェーズでは、潜在顧客にリーチするためのデジタル広告が重要な手段となります。SNS広告やリスティング広告、ディスプレイ広告などを活用し、ECサイトへのアクセス数を増やしましょう。広告は、ターゲットに応じたメッセージを的確に届けることで、認知の拡大と顧客の購入意欲を引き出すことが可能です。

広告効果を高めるためには、コンバージョン数を計測して費用対効果(ROI)を検証し、クリエイティブの最適化や入札単価の調整を行う必要があります。これには、Googleアナリティクスを活用したコンバージョン測定が効果的です。また、Facebook広告やInstagram広告においては、コンバージョンAPIを活用して広告の効果をより正確に追跡し、広告運用の最適化を図りましょう。

D2Cのサポートには「MAAC」!

 

クレッシェンド・ラボは、500社以上のブランドのデジタルトランスフォーメーションを支援し、D2Cビジネスの成功に貢献してきました。私たちは、顧客一人ひとりの行動を深く理解し、パーソナライズされた体験を提供することで、顧客とのエンゲージメントを高め、売上向上に繋がるようにお手伝いします。多様なデータソースを統合し、AIを活用した分析により、より効果的なマーケティング戦略を立案できます。今すぐやり方を少しつづかえ、ビジネスを次のステージへ進めましょう!

「MAAC」でご利用いただけるその他の機能や、実際の導入事例については下記記事をご参照ください。

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