目次
✅ この記事の要点
- かご落ち(カゴ落ち)とは、ECサイトでカートに商品を入れたお客様が、購入を完了せずに離脱することです
- 海外の調査では、カゴ落ち率の平均は約7割とされています。まず自社のカゴ落ち率を同じ計算方法で継続して見ることが大切です
- 対策は「サイト内で離脱を減らす」と「離脱したお客様を呼び戻す」の2段階で考えると整理しやすくなります
- 呼び戻しには、メール・LINE・広告の3つの手段があります。相手の連絡先がわかるかどうかで使い分けます
はじめに
「アクセスはあるのに売上が伸びない」「カートまで進んだのに買われていない」。ECサイトを運営していると、こうした悩みに必ずぶつかります。その原因の多くを占めるのが、かご落ちです。
カートに商品を入れるのは、商品に関心を持っているサインです。ただし、全員がその場で買うつもりとは限りません。比較中のお客様もいれば、あとで買う候補として残しているお客様もいます。それでも、購入まであと一歩のところまで来ていたことに変わりはなく、新しいお客様を集めるより、すでに買う気のあるお客様を取り戻すほうが、少ない費用で売上につながりやすい施策といえます。
この記事では、かご落ちの意味とカゴ落ち率の計算方法、主な原因を整理したうえで、サイト内の対策と、メール・LINEで購入を取り戻す方法を解説します。

かご落ちとは?どんな状態を指す?
かご落ちとは、ECサイトでお客様がカートに商品を入れたあと、購入を完了せずにサイトを離れてしまうことです。英語では「cart abandonment(カート放棄)」と呼ばれます。
カゴ落ち・カート落ち・カート放棄:呼び方が違うだけで同じ意味
「かご落ち」「カゴ落ち」「カート落ち」「カート放棄」は、いずれも同じ現象を指します。ショッピングカートを「買い物かご」と呼ぶことから、日本では「かご落ち」という言い方が広く使われています。
似た言葉に「チェックアウト離脱」があります。こちらは、カートの先にある購入手続き(配送先や支払い方法の入力)の途中で離脱することを指し、かご落ちの一部と考えることができます。どの段階の離脱を数えるかで、数字も打つべき対策も変わるため、社内で言葉の範囲をそろえておきましょう。
Shopifyでは「放棄されたチェックアウト」として記録される
Shopifyでは、かご落ちに近い状態を「放棄されたチェックアウト(abandoned checkout)」として記録します。Shopifyの英語版ヘルプでは、お客様がメールアドレスを入力したあと、購入手続きが10分以上完了しない状態を「放棄された」と扱うと説明されています。
つまりShopifyの管理画面で見えるのは、メールアドレスを入力したところまで進んだお客様の離脱です。カートに入れただけで離脱したお客様は、ここには含まれません。なお、このヘルプは従来のリカバリー機能の説明で、現在の管理画面では表示や条件が異なる場合があります。
カゴ落ち率の平均と計算方法は?
カゴ落ち率は、かご落ちがどれくらい起きているかを示す指標です。
カゴ落ち率の計算方法
一般的には、次の式で計算します。
- カゴ落ち率(%):(カートに商品を入れたが購入しなかった数 ÷ カートに商品を入れた数)× 100
たとえば、1か月にカートへ商品を入れたお客様が1,000人で、そのうち購入したのが300人なら、カゴ落ち率は70%です。分母と分子は「人数」か「セッション数」かの単位をそろえ、カート追加から何日以内の購入を数えるかも決めておきます。
平均は約7割とされている
EC調査機関のBaymard Instituteは、50の調査をもとに、カゴ落ち率の平均を70.22%と算出しています(2025年9月22日更新)。カートに商品を入れたお客様のうち、購入まで進むのは3割ほどという計算です。日本だけの数字ではなく、商材や流入経路、計測方法によっても変わるため、目安として見ておきましょう。
どこで離脱しているかを段階に分けて見る
かご落ちと一口にいっても、離脱する場所はいくつかあります。「カートに入れた」「購入手続きを始めた」「配送先を入力した」「支払い方法を選んだ」のように段階を分け、それぞれの次の段階に進んだ割合を見ると、どの画面で多く離れているかがわかり、手を打つ場所を絞れます。GA4などのアクセス解析ツールで、段階ごとの人数を確認しましょう。
自社の数字は「同じ計算方法で続けて見る」
カゴ落ち率は、分母を「カートに入れた数」にするか「購入手続きを始めた数」にするかで大きく変わります。平均値と比べて一喜一憂するより、自社の計算方法を決めて、毎月同じ方法で推移を見るほうが改善につながります。
かご落ちはなぜ起きる?主な原因は?
Baymard Instituteの調査では、購入手続き中に離脱した理由として次の項目が挙げられています。なお、同調査では米国のオンライン購入者の42%が「見ていただけ、まだ買うつもりがなかった」ことを理由にカートを離れた経験があるとしており、下の表はその層を除いた分布です。主な項目の抜粋で、複数回答のため合計は100%になりません。
| 離脱の理由 | 割合 | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 追加費用(送料・税・手数料)が高すぎた | 40% | 送料や総額を早い段階で見せる |
| 配送が遅すぎた | 20% | お届け日の目安を商品ページで示す |
| クレジットカード情報を入力するほどサイトを信頼できなかった | 19% | 決済手段の追加、運営者情報やセキュリティの表示 |
| アカウント作成を求められた | 18% | ゲスト購入を用意する |
| 購入手続きが長すぎる・複雑すぎる | 17% | 入力項目を減らす(EFO) |
| サイトにエラーがあった・落ちた | 17% | 購入手続きの動作確認を定期的に行う |
| 返品ポリシーに納得できなかった | 13% | 返品条件をわかりやすく示す |
最も多いのは、送料や手数料など「最後に知らされる追加費用」です。カートに入れた時点では買うつもりだったお客様が、総額を見て離れていることがわかります。
「まだ迷っている」お客様も多い
調査で42%が挙げた「見ていただけ、まだ買うつもりがなかった」という理由も見逃せません。カートを「あとで買う候補のメモ」として使うお客様は少なくなく、こうした離脱はサイトを直しても防ぎきれません。
この層には、無理に購入を迫るより、購入を決めたときに思い出してもらえる接点を残すほうが効果的です。お気に入り登録、再入荷通知の受け付け、LINEの友だち追加などで連絡できる状態にしておけば、迷っているあいだに忘れられることを防げます。
カゴ落ちを減らすサイト内の対策は?
原因の多くは、サイトの作りを見直すことで減らせます。
総額の表示:送料と手数料を早めに見せる
送料や手数料が購入手続きの最後に出てくると、お客様は「思っていたより高い」と感じて離れます。商品ページやカートの時点で、送料の目安や送料無料になる条件を示しましょう。配送先によって送料が変わる場合は、その条件も先に伝えます。
ゲスト購入:会員登録なしでも買えるようにする
初めてのお客様にとって、会員登録は手間です。ゲスト購入を用意し、会員登録は購入後に案内する形にすると、最初の購入までのハードルが下がります。
お届け日の目安:いつ届くかを先に伝える
「配送が遅すぎた」も、離脱の理由の上位に入っています。商品ページやカートに、注文から発送までの日数やお届け日の目安を表示しましょう。ギフト需要が高い時期は、指定日に間に合うかどうかがわかるだけでも離脱を減らせます。

Shopify公式「Shopify Checkout」|購入手続きで配送条件を確認するイメージ
EFO(入力フォーム最適化):入力の手間を減らす
EFOは、入力フォームを使いやすくする取り組みです。入力項目を減らす、住所を郵便番号から自動で入れる、エラーをその場で知らせるといった工夫で、手続き中の離脱を減らせます。スマートフォンで実際に購入手続きを試し、入力しにくい箇所がないかを確かめましょう。
決済手段と信頼性:安心して払える状態にする
クレジットカード以外に、ID決済や後払いなど、お客様が普段使う決済手段を用意します。あわせて、運営会社の情報、返品・交換の条件、問い合わせ先をわかりやすく示しましょう。
サイトを訪れたお客様にその場で声をかける方法は、Web接客ツールとは?で解説しています。
離脱したお客様を呼び戻すには?メール・LINE・広告の違いは?
サイト内の対策をしても、かご落ちはゼロにはなりません。離脱したお客様を呼び戻す手段は、主に次の3つです。
| 項目 | カゴ落ちメール | LINE | リターゲティング広告 |
|---|---|---|---|
| 届く相手 | メールアドレスがわかり、配信に同意したお客様 | LINEの友だちで、ECの会員とID連携済みのお客様 | 広告の配信条件に合うサイト訪問者 |
| 届き方 | メールの受信箱 | LINEのトーク画面 | 広告面 |
| 必要な仕組み | カートシステムやメール配信ツール | ID連携とLINE配信ツール | 広告アカウントとオーディエンス設定 |
| 向いている場面 | 購入手続きまで進んだお客様 | すでに友だちになっている既存顧客 | 連絡先がわからない新規の訪問者 |
カゴ落ちメール:もっとも基本の呼び戻し
カゴ落ちメールは、カートに残った商品を知らせて購入を促すメールです。多くのカートシステムに標準で用意されており、最初に取り組みやすい施策です。メールマーケティング全体の中での位置付けは、成果を出すメールマーケティング10施策で解説しています。
LINE:友だちになっている既存顧客に届けやすい
LINEは普段から使われているアプリなので、メッセージがトーク画面に直接届きます。一方で、カートの中身を知らせるには、ECの会員とLINEの友だちを紐付けるID連携が欠かせません。友だち追加をしてもらっただけでは、誰が何をカートに入れたかはわかりません。ID連携の進め方は、LINEのID連携の解説記事で紹介しています。
LINEで送るときの注意:配信の回数と費用
LINE公式アカウントは、料金プランによって月に送れるメッセージの通数や追加の費用が変わります。カゴ落ちのたびに何通も送ると、配信の費用がかさむうえ、ブロックされる原因にもなります。メールとLINEのどちらで送るかを、お客様の状態に応じて決めておくと、費用と効果のバランスを取りやすくなります。
リターゲティング広告:連絡先がわからない訪問者に
メールアドレスもLINEもわからない訪問者には、広告で再訪問を促します。配信できる対象は、媒体の仕様や計測の設定、お客様の同意の状況によって変わります。LINE広告を使った呼び戻しは、LINEリターゲティング広告でカゴ落ち・離脱客からリピート率を高める方法で詳しく解説しています。
カゴ落ちメール・LINEはいつ、何を送る?
呼び戻しのメッセージは、送るタイミングと内容で成果が変わります。
送るタイミング:段階に分けて送る
当社の見解として、1回で終わらせず、次のように段階に分けて送るのがひとつの目安です。
| 回数 | タイミングの例 | 内容 |
|---|---|---|
| 1回目 | 離脱から数時間後 | カートに残っている商品のお知らせ |
| 2回目 | 翌日 | 商品の魅力やレビュー、よくある質問への回答 |
| 3回目 | 2〜3日後 | 在庫や期限のお知らせ、必要に応じて特典 |
Shopify Flowのテンプレート「Recover abandoned checkout」は、購入手続きに進んでから10時間後にメールを送る設定になっています(Shopify Flowの英語版ヘルプ)。自社の商品が衝動買いされやすいか、比較検討されやすいかによって、間隔を調整しましょう。LINEで届かなかったお客様にSMSで送るなど、チャネルを切り替えるシナリオの例は、オムニチャネルのシナリオ配信とは?で紹介しています。
文面の型:商品・理由・ボタンの3点をそろえる
文面には、①カートに残っている商品の画像と名前、②もう一度見てもらう理由、③カートに戻れるボタン、の3つを入れます。たとえば次のような形です。
- 1回目の例:「ご検討中の商品のお知らせです。お買い物の続きは、こちらからご確認いただけます。[カートを確認する]」
- 2回目の例:「〇〇の使い方や、ご購入前によくいただくご質問をまとめました。商品選びの参考に、ぜひご覧ください。[商品について詳しく見る]」
1回目は急かさず、思い出してもらうことを目的にします。在庫や期限を伝える場合は、実際の在庫や期限にもとづいた内容にしましょう。
お客様に合わせて内容を変える
同じカゴ落ちでも、初めてのお客様と何度も購入しているお客様では、迷っている理由が違います。初めてのお客様には返品条件やレビューなど安心材料を、リピーターには新商品やセット購入の提案を届けるといったように、購入履歴に応じて文面を変えると反応が上がりやすくなります。
カートに入っている商品の金額によっても、伝える内容を変えられます。高額な商品なら分割払いや保証の案内、低額な商品なら送料無料になる金額までの差額の案内などが考えられます。
配信の同意と表示:法律のルールを守る
カゴ落ちメールは購入を促す内容を含むため、広告宣伝メールとして扱われる可能性があります。総務省と消費者庁の特定電子メールの送信等に関するガイドラインでは、広告宣伝メールは原則として事前に同意を得た相手にだけ送れるとされ、送信者の名称や配信停止の方法を表示することも求められています。配信の同意を得ているお客様に送り、配信停止の方法を必ず入れるようにし、細かな判断は法務担当者や専門家に確認しましょう。
LINEの場合も、送りすぎるとブロックにつながります。同じお客様に短い期間で何度も送らないよう、回数の上限を決めておきます。メールとLINEの両方に同じ内容が届かないようにし、購入が完了したらすぐに配信を止める設定も欠かせません。
Shopifyでかご落ち対策を始めるには?
Shopifyを使っている場合は、標準の機能から始められます。
標準のリカバリーメール:まずは自動送信をオンにする
Shopifyの英語版ヘルプでは、放棄されたチェックアウトのお客様に、カートへ戻れるリンク付きのメールを自動で送れると説明されています。送る相手と、離脱から送信までの時間を設定できます。
なお、お客様がメールアドレスではなく電話番号を入力した場合や、メールを送る前に購入が完了した場合などは、メールは送られません。また、同じヘルプでは、放棄されたチェックアウトの機能はオンラインストアとBuy Buttonの販売チャネルが対象で、3か月より古いデータは自動で削除されると案内されています。過去の推移を残したい場合は、定期的に数字を記録しておきましょう。
割引付きのリカバリーメール
割引に関する英語版ヘルプでは、リカバリーメールに割引を自動で適用し、割引後の価格が入ったカートを届ける方法が案内されています。前の章のとおり、割引を使う条件は先に決めておきましょう。
LINEでも呼び戻したい場合
Shopify標準のリカバリーメールは、メールで送る仕組みです。LINEで送るには、LINE連携アプリやLINEマーケティングツールを組み合わせ、Shopifyの顧客とLINEの友だちをID連携する必要があります。ShopifyとLINEをつなぐ仕組みと連携アプリの選び方は、ShopifyのAI機能とは?Sidekick・Shopify MagicとLINE連携の活用方法で解説しています。
MAACでカゴ落ち配信を自動化するには?
MAAC(マーク)は、クレッシェンドラボのLINEマーケティング自動化ツールです。製品ページでは、メッセージ配信の機能として「カート落ち配信」、データ連携として「サイト行動データ取得(GA4/SDK連携)」が掲載されています。

LINE・メール・SMSを横断して呼び戻す
MAACの「AIシナリオ配信」は、LINE・Email・SMSを横断したカスタマージャーニーを設計し、自動で配信する機能です。たとえば、ID連携済みのお客様にはLINE、そうでないお客様にはメールというように、届く手段で呼び戻しの流れを組めます。配信タイミングをAIが判断する「スマート配信」も用意されています。
ShopifyなどのEC・カートシステムと顧客データを連携すると、購入履歴やWeb上の行動を活用した配信を設計できます。利用できるデータ項目や連携方法は、利用するシステム・契約プラン・個別要件によって異なります。

EC事業者の活用例
ホテラバの事例では、MAACとGA4の連携を活用し、行動データをきっかけにしたカゴ落ちリマインド配信をLINEで行っています。あわせて、購入直後のお客様を一定期間すべての販促配信から外すなど、送りすぎを防ぐ運用も紹介されています。

導入前に確認しておきたいこと
カゴ落ち配信を自動化する前に、次の点を確認しておくと、導入後のずれを防げます。
- ID連携の状況:ECの会員のうち、LINEの友だちとID連携できているのはどれくらいか
- 連携できるデータ:カートの商品情報、閲覧履歴、在庫情報のうち、どれを配信に使えるか
- 購入完了の検知:購入したお客様を自動で配信対象から外せるか
- 配信の同意:メール・LINEそれぞれで、配信の同意をどう管理しているか
- 配信の上限:同じお客様に送る回数の上限と、購入後に配信を止める条件
とくにID連携の割合は、LINEで呼び戻せるお客様の数を直接決めるため、最初に現状を把握してから、配信の設計を始めるのがおすすめです。
料金ページでは、MAAC 基本プランが月額80,000円〜と記載しています。基本料金に加えて初期費用やオプションが発生する場合があり、契約期間は1年です。詳しくは料金プランをご覧ください。他社ツールとの違いは、LINEマーケティングツール比較でまとめています。
まとめ
- かご落ちとは、カートに商品を入れたお客様が購入せずに離脱すること
- 海外の調査ではカゴ落ち率の平均は約7割。自社の数字は同じ計算方法で続けて見る
- 最も多い原因は送料・手数料などの追加費用。総額の表示、ゲスト購入、EFOで離脱を減らす
- 離脱したお客様は、メール・LINE・広告を、連絡先がわかるかどうかで使い分けて呼び戻す
- 呼び戻しは段階に分けて送り、割引は条件を決めて使う
当社の見解として、かご落ち対策は「サイト内の改善」と「呼び戻し」を両方進めてこそ成果が出ます。呼び戻しは、まずカートシステム標準のメールから始め、ID連携した既存顧客が増えてきたらLINEを組み合わせるのが進めやすい順番です。
- 具体的な施策を探している方:MAAC、ホテラバの事例
- 導入を相談したい方:料金プラン、お問い合わせ・無料相談
カゴ落ち配信の設計は、利用しているカートシステムや、ID連携の状況によって変わります。自社でどこまで自動化できるか、LINEとメールをどう使い分けるかを確認したい方は、お気軽に無料相談をご利用ください。
Nari Fujiie
LINEマーケティングとAI活用の最新トレンドをわかりやすく発信し、貴社のマーケティング課題解決に役立つインサイトをお届けします。