✅ この記事の要点
- ShopifyのAIは、商品情報・コンテンツ制作・ストア運営を効率化するための機能
- LINEでの接客や、購入履歴にもとづく配信には、Shopify・LINE・顧客データをつなぐ別の仕組みが必要
- LINE×AIの施策は「誰に送るか(セグメント)」「どう対応するか(接客)」「何が効いたか(分析)」の3つに分けて設計すると整理しやすくなります
- 利用できるデータや連携方法はシステムや契約内容によって異なるため、導入前に連携範囲を確認することが大切
はじめに
この記事では、まずSidekick・Shopify Magic・Shopify InboxといったShopify標準のAIの役割を整理します。そのうえで、ShopifyとLINEをつなぐために必要な仕組みと、LINE×AIで実現できるEC施策を解説します。機能の提供状況、対応言語、料金は変更される場合があるため、導入前に最新情報をご確認ください。

ShopifyのAI機能とは?
Shopifyヘルプセンターでは、AIを搭載したツールとして複数の機能が案内されています。EC運営で特に使う機会が多いのは次の4つです。
Sidekick:管理画面で作業を手伝うAIアシスタント
Sidekickは「管理画面内の AI アシスタント」です。日常の言葉で話しかけると、データの分析、注文の管理、商品の編集などのタスクを依頼できます。テキストチャットのほか、音声モードや画面共有でもやり取りできます。
Shopify日本のSidekickのページでは、Sidekickは「Shopifyプランに含まれています」と案内されています。機能や利用制限はプランによって異なります。
Shopify Magic:商品説明や画像を生成するAI機能群
Shopify Magicは、商品説明やメールの作成、メディアの生成などに使える無料のAI機能スイートです。商品説明やストアの見出しの提案、商品画像の背景削除、テーマの生成、顧客セグメントの説明文の自動生成などが用意されています。
Shopify Magicの公式ヘルプでは、Shopify Magicはサブスクリプションプランに関係なく無料で利用できるとされています。
Shopify Inbox:ストア上のチャット対応
Shopify Inboxは、オンラインストアに来たお客様とチャットでやり取りする機能です。よくある質問に答える「即時回答」や、スタッフの返信を助ける「返信の提案」にAIが使われています。

agentic storefronts:AIチャネルでの販売
agentic storefrontsは、お客様がChatGPTやGeminiなどのAIチャネルの中で商品を見つけ、購入できる仕組みです。英語版ヘルプでは対象を「eligible stores」としていますが、2026年9月30日時点で対象国の一覧は掲載されていません。日本での提供状況は、管理画面とShopifyの最新情報でご確認ください。

Sidekick・Shopify Magic・Shopify Inboxはどう違う?
3つの機能は、使う場面と対象が異なります。
| 機能 | 使う人 | 主な用途 | 利用条件(公式の記載) |
|---|---|---|---|
| Sidekick | ストア運営者 | 分析、注文管理、商品編集、コンテンツ作成 | プランに含まれる。機能や制限はプランで異なる |
| Shopify Magic | ストア運営者 | 商品説明、画像、テーマ、セグメント説明の生成 | プランに関係なく無料 |
| Shopify Inbox | ストア運営者とお客様 | ストア上のチャット対応 | AI生成の返信の提案・即時回答の提案は英語のみ |
お客様と直接やり取りするのはShopify Inboxだけで、その舞台もオンラインストア上のチャットに限られます。
ShopifyのAIだけでLINE配信までできないのはなぜ?
LINEはShopifyのAIの対象に含まれていない
2026年9月30日時点のShopifyのAI関連ヘルプとSidekickのページには、LINEについての記載はありません。Shopify MagicでAIが文章を生成できる場所として挙げられているのも、ブログ記事、商品説明、Shopify Messagingのメール、Inboxなどです。
顧客チャット向けAIの一部は英語のみ
Inboxの返信の提案は「英語でのみ利用できます」とされ、ストアと管理画面を英語に設定することが要件です。AIが自動生成する即時回答の提案も英語のみです。
日本語のストアでは、即時回答は手作業で設定することになります。なお、Shopify Magicの一般公開機能は、すべての言語で利用できます。
ストアの外のお客様と関係を続けるには別の仕組みが必要
こうした違いを整理すると、ShopifyのAIは「ストアの中」、LINE×AIは「ストアの外にいるお客様との関係」を担うと考えるとわかりやすくなります。役割は次のように分けられます。
| 領域 | 主な役割 | 位置付け |
|---|---|---|
| Shopify Sidekick | 管理画面での分析・作業支援 | ストア運営 |
| Shopify Magic | 商品説明・画像・文章の制作 | コンテンツ制作 |
| MAAC | 顧客データを使った配信・シナリオ・リピート施策 | LINEマーケティング |
| CAAC | LINEやWebなどでのAI接客・有人対応 | 顧客対応 |
| DAAC | 顧客データや施策結果の分析 | 効果測定・改善 |
MAAC・CAAC・DAACはクレッシェンドラボのツールで、後半で紹介します。
ShopifyとLINEを連携するには何が必要?
LINEでAIを活かすには、Shopifyの顧客データとLINEをつなぐ仕組みが欠かせません。Shopify日本のブログでも、EC×LINE連携は「LINE公式アカウント」「LINEミニアプリ」「LINEログイン」「LINE Pay」の4パターンで整理されています。
ID連携:Shopifyの顧客とLINEの友だちを紐付ける
ID連携とは、Shopifyの会員とLINEの友だちを同じ人として紐付けることです。ID連携ができて初めて、購入履歴にもとづくLINE配信が可能になります。
LINEの友だちが多くても、ID連携していなければ「誰が何を買ったか」はわかりません。購入完了ページやマイページで、連携を案内する導線を用意しましょう。その際は、連携するメリットと、取得する情報の利用目的をわかりやすく伝えることが大切です。サイト訪問者をLINEにつなぐ導線の作り方は、Web接客ツールとは?で解説しています。
データ連携:購入・カート・在庫の情報をつなぐ
ID連携に加えて、購入履歴、カート、在庫などの情報を配信や接客の仕組みに渡す必要があります。どの情報を、どのタイミングで連携できるかによって、実現できる施策が変わります。

配信基盤:LINEに送る仕組みを用意する
最後に、連携したデータをもとにLINEへメッセージを送る仕組みが必要です。Shopify App Storeには、CRM PLUS on LINE、おみせコネクト(LINE連携)、StoreCRM、LINE連携コマース、Lipify(LINE連携アプリ)などのLINE連携アプリがあります。
機能や料金はアプリやプランによって異なります。導入前に、次の点を比べておきましょう。
- ID連携の方法と連携数の上限
- 注文・発送通知、カゴ落ち配信などへの対応
- 配信に使える購入データ・行動データ
- AI機能の有無と利用条件
- 月額費用、初期費用、配信にかかる費用
- 導入支援や運用サポートの範囲
LINE×AIでできるEC施策は?
ShopifyとLINEがつながると、AIを使った施策に進めます。なお、注文・発送通知やカゴ落ち配信は、設定した条件で動く自動配信で実施できます。AIが力を発揮するのは、配信対象の分析、問い合わせ対応、文面の作成など、判断や制作が必要な部分です。代表的なものを3つ紹介します。
AIセグメント:誰に送るかを最適化する
購入回数や金額、閲覧履歴をもとに、AIが「次に買いそうな顧客」を見つけます。Shopify Magicが「何を書くか」を助けるAIだとすれば、AIセグメントは「誰に送るか」を最適化するAIです。
全員に同じメッセージを送るより、購入の可能性が高い人に絞るほうが、配信コストとブロックを抑えやすくなります。

AI接客:商品選びの相談に24時間応える
LINEに届く質問に、AIが商品情報をもとに回答します。たとえば「敏感肌でも使える商品はありますか」「初めて購入するならどれがよいですか」と聞かれたとき、AIが候補を提示します。
一方、「自分の注文はいつ届くか」といった個別の質問には、注文情報との連携と本人確認が必要です。AIが回答できる範囲を決め、判断が必要な相談やクレームは担当者へ引き継ぐ設計にしておくと、対応品質を保てます。AIチャットボットの選び方や引き継ぎの設計は、AIチャットボット導入ガイドで解説しています。

引用元 Agentic AI 実践ガイド
カゴ落ち対策:メッセージと広告を使い分ける
カートに商品を入れたまま離脱したお客様へのアプローチには、LINEのメッセージと広告の2つがあります。
| 項目 | カゴ落ちメッセージ | LINEリターゲティング広告 |
|---|---|---|
| 主な対象 | LINE IDなどで識別できる顧客 | 広告の配信条件に合う離脱ユーザー |
| 接点 | LINE公式アカウントなど | 広告面 |
| 主な目的 | 購入の再開、購入後のフォロー | 再訪問、再獲得 |
| 必要な仕組み | EC・顧客ID・配信基盤の連携 | 広告連携、オーディエンス設計 |
| AIの活用 | 文面、商品提案、配信タイミング | オーディエンスやクリエイティブの改善 |
カゴ落ちの通知そのものは自動配信で送り、AIは文面や訴求案の作成に使うと、商品ごとの調整も負担なく進められます。カゴ落ちメッセージは、ID連携済みのお客様にしか届きません。まだ連携していない離脱ユーザーには、広告で再訪問を促す形になります。LINEリターゲティング広告の仕組みは、LINEリターゲティング広告でカゴ落ち・離脱客からリピート率を高める方法で詳しく解説しています。
MAACで購入後フォロー・カゴ落ち・リピート施策はどう実現する?
MAAC(マーク)は、クレッシェンドラボのLINEマーケティング自動化ツールです。ShopifyなどのEC・カートシステムと顧客データを連携することで、購入履歴やWeb上の行動を活用したLINE施策を設計できます。利用できるデータ項目や連携方法は、利用するシステム・契約プラン・個別要件によって異なります。
4つのAI機能で「誰に・いつ・何を」送るかを最適化する
MAACの製品ページでは、次のAI機能が紹介されています。
- AIスマートセグメンテーション:会員ごとの購買確率や行動傾向をAIが分析し、セグメントを自動生成
- AIシナリオ配信:LINE・Email・SMSを横断したカスタマージャーニーを設計し、自動配信
- スマート配信:顧客一人ひとりの行動や反応をもとに、最適な配信タイミングをAIが判断
- AIコンテンツ生成:パーソナライズされたテキスト・画像・動画を自動生成
このほか、SDKによるサイト行動データの取得、カート落ち配信、AIによる商品レコメンドも機能として掲載されています。
EC事業者の活用例
ECでの活用例として、ホテラバの事例では、購入直後のユーザーを一定期間すべての販促配信から除外し、友だち登録直後のユーザーには段階的に情報を届ける運用が紹介されています。GA4との連携で行動データをトリガーにしたカゴ落ちリマインド配信も行っています。

フィッツの事例では、配信時間帯や通知文のA/Bテストを続け、Webhook連携で外部のアンケートツールと顧客データをつないでいます。どちらも、顧客の状態に合わせて配信を出し分ける設計がポイントです。

CAACでAI接客・商品提案・有人引き継ぎはどう実現する?
CAAC(カーク)は、LINE・Instagram・Facebookなど複数チャネルの問い合わせを一元管理する接客ツールです。AIで解決できない問い合わせは、会話の経緯を踏まえて担当者へ引き継げます。

すぐに使いやすい機能と、連携の確認が必要な機能
CAACのAI活用は、次のように分けて考えると導入の検討がしやすくなります。
| 区分 | 主な内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 標準的に使いやすい範囲 | FAQへの回答、商品案内、AI返信、AIおすすめ商品の提案、有人引き継ぎ、AI会話サマリー | プランによって使える機能が異なる |
| 連携要件の確認が必要な範囲 | 注文状況の確認、在庫確認、返品・交換対応 | カートシステムなど外部データとの連携が前提 |
料金ページでは、外部データ・システム連携(CRM/カートシステム/サイト行動データ)と、AI応答・AI返信生成・AI商品提案がCAAC Enterpriseの項目に記載されています。注文や在庫の情報を使った接客を考えている場合は、Enterpriseを前提に相談するとスムーズです。
DAACで施策の結果を分析する
DAAC(ダーク)は、顧客データと広告データを統合して分析するAIツールです。MAACの配信やCAACの対応で得たデータをもとに、次の施策を考える役割を担います。

導入前に確認すべきデータ連携・費用・運用条件は?
Shopify×LINEの施策を始める前に、次の3点を確認しておくと導入後のずれを防げます。
データとID連携で確認すること
- Shopifyとの連携は標準の連携か、個別の開発が必要か
- 購入履歴・カート・在庫のうち、どのデータを連携できるか
- カゴ落ち配信の対象になる条件(ID連携済みの顧客のみか)
- ID連携を増やす導線をどこに置くか
費用で確認すること
クレッシェンドラボの料金ページでは、次のように掲載されています。
- MAAC 基本プラン:月額 80,000円〜
- CAAC Starter:月額プラン 10,000円(接続チャネル数1)
- CAAC Growth:月額プラン 25,000円(接続チャネル数3まで)
- CAAC Enterprise:利用規模や運用要件に合わせて個別に提案
CAAC Starterは接続チャネル数が1のため、LINEとInstagramなど複数チャネルをまとめて管理したい場合はGrowth以上が前提になります。
料金は基本料金に加えて、初期費用やオプション、データ連携の費用などが発生する場合があります。利用できる機能、連携範囲、配信規模によって異なるため、導入前にご確認ください。契約期間は1年です。
運用体制で確認すること
AIの回答を誰が確認するか、有人対応に切り替える条件をどうするかも決めておきましょう。Shopifyの公式ヘルプでも、AIの出力にはエラーが含まれる場合があるため確認するよう案内されています。
効果の測り方で確認すること
施策ごとに、見る指標を先に決めておきます。
- AI接客:自動解決率、対応時間、顧客満足度
- AIセグメント:購入率、顧客あたり売上、ブロック率
- カゴ落ち・再入荷通知:購入回復率、通知経由の売上
売上を見るときは、配信後に発生した購入と、施策によって増えた購入を分けて考える視点も必要です。可能であれば、配信しない比較グループを設けて効果を確かめましょう。
当社の見解として、ID連携した顧客が少ないうちは基本の自動配信から始め、効果を確かめながらAIに任せる範囲を広げるのが失敗しにくい進め方です。最初から全部をAIに任せないことが、顧客体験を落とさないコツです。他社ツールとの違いは、LINEマーケティングツール比較でまとめています。LINE CRMツールの選び方は、LINE CRMでできること・ツール比較・選び方もあわせてご覧ください。
まとめ
- ShopifyのAI(Sidekick・Shopify Magic)は、ストア運営とコンテンツ制作の効率化に強い
- Shopify InboxのAI生成機能の一部は英語のみで、LINEはShopifyのAIの対象に含まれていない
- LINEでAIを活かすには、ID連携・データ連携・配信基盤の3つが必要
- AIセグメントは「誰に送るか」、AI接客は「どう対応するか」、分析は「何が効いたか」を担う
- 注文・在庫・返品の情報を使った接客は、連携要件を事前に確認する
当社の見解として、ShopifyのAIとLINE×AIは競合するものではなく、役割の違う道具です。自社の検討段階に合わせて、次の情報もご活用ください。
- まず全体像を知りたい方:AI × 顧客コミュニケーション(無料eBook)、LINEのセグメンテーション(無料eBook)
- 具体的な施策を探している方:MAAC、CAAC、ホテラバの事例、フィッツの事例
- 導入を相談したい方:料金プラン、お問い合わせ・無料相談
ShopifyとLINEの連携範囲、購入履歴を活用した配信、AI接客の設計は、現在のEC環境によって異なります。自社で利用できるデータや実現したい施策を確認したい方は、無料相談をご利用ください。
よくある質問
Q1. ShopifyのAI機能は無料で使えますか?
Shopify Magicは、サブスクリプションプランに関係なく無料で使えると公式ヘルプに記載されています。Sidekickはプランに含まれていますが、機能や利用制限はプランによって異なります(2026年9月30日時点)。外部の連携アプリやツールを使う場合は、別途費用がかかります。
Q2. ShopifyとLINEを連携するには何が必要ですか?
Shopifyの顧客とLINEの友だちを紐付けるID連携、購入履歴やカートなどのデータ連携、LINEへ送る配信基盤の3つが必要です。
Q3. カゴ落ちメッセージとLINEリターゲティング広告の違いは?
カゴ落ちメッセージは、ID連携などで識別できる顧客にLINE公式アカウントから送ります。LINEリターゲティング広告は、広告の配信条件に合う離脱ユーザーに広告面で表示し、再訪問を促します。
Nari Fujiie
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