カスタマージャーニーマップ完全ガイド|作り方と注意点
カスタマージャーニー • 2024/12/02 16:34:27 • Written by: Kokoro Tomita
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスとどのように出会い、選び、購入に至るのか、そしてその後までの旅路を明らかにする「設計図」です。このマップを正確に作成することで、顧客の期待や不満を見極め、最適なアプローチをデザインすることが可能になります。結果として、エンゲージメントが高まり、売上やブランドロイヤリティの向上が期待できるのです。
本記事では、初心者でも簡単に取り組める6つのステップをはじめ、作成時の注意点や失敗を防ぐコツを丁寧に解説。また、テンプレートを活用した効率的な作成方法や、自動化ツールを使った手軽なマッピング術もご紹介します。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための「顧客目線の戦略」を、この完全ガイドで学んでみませんか?まずはこの記事を読み進めて、顧客体験の未来を描く第一歩を踏み出しましょう!
この記事でわかること
- カスタマージャーニーマップとは?なにが可能になるの?
- カスタマージャーニーマップを支える5つの基本要素
- カスタマージャーニーマップの作り方|初心者でも安心の6ステップ
- カスタマージャーニーマップ作成の注意点|失敗を防ぐコツ
- テンプレートで簡単!カスタマージャーニーマップを作成しましょう
- まとめ
カスタマージャーニーマップとは?なにが可能になるの?
カスタマージャーニー(Customer Journey=顧客の旅路)とは、顧客が製品やサービスと出会い、購入に至るまでのプロセスだけでなく、その後の体験やロイヤルティ形成までを包括的に捉える視点です。例えば、広告でブランドを知る段階から購入を検討する情報収集、購入後の使用感や満足度、さらにはリピート利用まで、顧客の一連の行動を整理して理解することが目的です。
この流れを視覚化したものがカスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map)です。このマップは、顧客が各プロセスで「何を考え」「どんな感情を抱き」「どのような行動を取るのか」を詳細に描き出します。これにより、顧客の視点から体験を想像しやすくなり、各ステージでの行動を予測したり、改善の余地を見つけたりすることが可能になります。
さらに、カスタマージャーニーマップは、異なるタッチポイントに関わる部門やチームが同じビジョンを共有し、ブランド全体として協業するための強力なツールでもあります。これにより、組織全体で顧客体験の向上に取り組むことができ、満足度やリピート率の向上へとつながります。
顧客の旅路をストーリーとして捉え、戦略を顧客視点で最適化するために、カスタマージャーニーマップをぜひ活用してみてください!
カスタマージャーニーマップを支える5つの基本要素
カスタマージャーニーマップは、単なる計画書やデータの羅列ではありません。それは、顧客の行動や感情を深く掘り下げた「物語」です。
顧客がどのような旅路を辿り、どんな気持ちでブランドと向き合うのか―その物語を描くためには、5つの基本要素が欠かせません。はじめに、それぞれがどんな役割を果たすのか、順番に見ていきましょう。
1. 顧客のペルソナ
物語の「主人公」にあたるのが顧客のペルソナです。顧客の基本情報やニーズ、嗜好を具体化することで、どんな人の物語を描くべきかが明確になります。
たとえば、LINE OAなどのツールを使えば、タグ付けやセグメンテーションによって効率的にデータを整理できます。ペルソナは、顧客の視点でカスタマージャーニーマップを設計するための最初の鍵となります。
💡 参考リンク: LINE OAのタグ付けとは?使い方や役立つタグ4種類を徹底解説!
2. 時間軸
次に必要なのは、物語の「時間設定」です。顧客体験がどれくらいの期間にわたるものなのかを定めることで、ジャーニーの流れを整えることができます。
短期間の体験を描く場合もあれば、顧客の生涯を通じた長期的な関係性を設計するケースもあります。時間軸を明確にすることで、マップ全体に一貫性が生まれます。
3. ステージ
物語に「章立て」が必要なように、カスタマージャーニーにも「ステージ」が欠かせません。
一般的には、認知、検討、購入、維持、支持といったステージに分け、それぞれで顧客が何を求めているのかを整理します。ステージを明確にすることで、顧客体験の進行に沿った施策を計画しやすくなります。
4. 顧客の行動と感情
顧客の「行動」と「感情」は、物語の「展開」を形作ります。各ステージで顧客がどのようなアクションを起こし、どんな気持ちでそれを行うのかを描写することで、ジャーニーに深みが生まれます。
たとえば、購入前に商品を比較している段階では、「この商品は自分に合うのか」と迷い、不安と期待が入り混じった感情を抱いているかもしれません。こうした感情を理解することで、より顧客に寄り添ったアプローチが可能になります。
5. タッチポイント
最後に、物語の「接点」となるのがタッチポイントです。顧客がブランドと接触する場面をすべて洗い出し、どのタイミングでどのような形で関わりを持つのかを明確にします。
タッチポイントは、SNS広告や公式サイト、実店舗、カスタマーサポートなど多岐にわたります。購入後の返品対応や問い合わせといった細かい接点も見落とさずに整理することで、顧客体験をより一貫性のあるものにできます。
これらの5つの要素は、それぞれが物語の重要なパーツです。次に進む6つのステップで、この物語を形にしていきましょう!
カスタマージャーニーマップの作り方|初心者でも安心の6ステップ
カスタマージャーニーマップを作るプロセスは、顧客とのつながりを深めるための「設計図」を描く作業。
この設計図を作る際には、ブランド側の目標を設定すると同時に、顧客の視点から行動や感情を具体的に想像することが重要です。以下の6つのステップに沿って、初心者でも分かりやすく実践できる方法をお伝えします。
ステップ1: 目的と時間軸を決定する
最初に「何を目的とするのか」を明確にしましょう。目標が定まることで、カスタマージャーニーマップが軸のある計画に変わります。また、顧客体験が展開する期間(時間軸)を設定することも重要です。
-
目的:
たとえば「新規顧客を増やしたい」「既存顧客のリピート率を向上させたい」など、具体的で測定可能な目標を設定してください。 -
時間軸:
顧客の行動や体験が1週間の短期間に集中するのか、1年、あるいは生涯にわたるのかを決めることで、マップに一貫性が生まれます。
ステップ2: 顧客データを収集し、ペルソナを定義する
顧客の行動や感情を理解するために、信頼性のあるデータを集めましょう。そして、そのデータを基にターゲットとなる顧客像(ペルソナ)を明確化します。
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データ収集:
アンケート、インタビュー、ウェブ解析、SNSでのコメントなどを活用して、顧客がどんな行動をとり、何を感じているのかを把握します。 -
ペルソナ作成:
収集した情報を基に、ターゲット顧客の行動や特徴を具体的に描写します。
例:
ペルソナを設定することで、カスタマージャーニーマップが実際の顧客に基づくものになります。
ステップ3: カスタマージャーニーのステージを特定する
カスタマージャーニーを段階ごとに分けて整理します。これにより、顧客の体験の流れを可視化し、どのタイミングで何を提供すべきかが見えてきます。
一般的なステージ:
たとえば「購入」ステージでは、購入プロセスの簡便さが重要になります。一方、「維持」ステージでは、アフターフォローが顧客満足度を大きく左右します。
ステップ4: タッチポイントをリストアップする
顧客がカスタマージャーニーの各段階でどのようにブランドと関わるのか(タッチポイント)を洗い出します。タッチポイントをリスト化することで、顧客体験全体を俯瞰できるようになります。
例:
- 認知: SNS広告、口コミ、検索エンジン
- 購入: オンラインストア、実店舗、カスタマーサポート
- 維持: メールマーケティング、リワードプログラム
すべてのタッチポイントを把握することで、体験の抜け漏れを防ぎましょう。
ステップ5: 顧客の行動・感情・思考を検討・想定する
タッチポイントごとに顧客がどのような行動を起こし、どんな感情を抱き、何を考えるかを想像してみましょう。このステップが、カスタマージャーニーマップに具体性を持たせる鍵となります。
例:
- 行動: Webサイトで商品を比較する、店舗で試着する
- 感情: 商品の種類が多くて満足、サポートの遅さに不満
- 思考: 「この商品は自分に合っているのかな」「他社の方が安いかもしれない」
これにより、顧客体験をポジティブにするための改善ポイントを見つけることができます。
ステップ6: 重要なタッチポイントを見つけ、改善点を特定する
最後に、顧客体験において最も影響力の大きいタッチポイントを特定します。その上で、改善すべき点を明確にし、具体的なアクションプランを立てましょう。
重要なタッチポイントの例:
- 顧客満足度に直結する購入プロセスの簡便さ
- 顧客離脱のリスクが高いカート放棄のタイミング
- 強化することで大きな成果が期待できるSNS広告やアフターサービス
改善例:
- カート放棄を防ぐために、リマインダーメールを送る
- 問い合わせ対応を迅速化するために、チャットボットを導入する
カスタマージャーニマップ作成例:
カスタマージャーニーマップ作成の注意点|失敗を防ぐコツ
カスタマージャーニーマップは顧客体験を深く理解し、改善するための有用なツールですが、作成時にはいくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、失敗しやすいポイントを挙げ、それを防ぐための具体的な対策を解説します。
1ステージ全体の流れを意識して設計する
カスタマージャーニーマップを作成する際、各ステージを個別に捉えすぎると、全体の流れが途切れてしまうことがあります。たとえば、認知段階で効果的にブランドを知ってもらったとしても、検討段階で十分な情報が提供されず離脱する、あるいは購入後のサポートが不足して顧客体験が中断するなど、体験の繋がりが不十分になるケースが頻発します。
解決策
- ジャーニー全体を一連のストーリーとして捉え、各ステージが次のステージへ自然に繋がるように設計します。
(例: 認知段階で得た情報が検討段階でも活用され、購入時にさらなる安心感を提供する流れを構築) - ステージ間のタッチポイントをスムーズに繋げるために、チャネルごとの役割と連携方法を明確にします。
(例: オンライン広告→ランディングページ→カート機能→購入確認メール) - 顧客の期待や感情の変化を考慮し、段階ごとに適切なコンテンツやサポートを配置します。
2 顧客インサイトの更新を怠らない
多くの企業が一度マップを作成すると、それを固定的なものとして扱ってしまいます。しかし、顧客の行動やニーズは環境やトレンドの変化に応じて絶えず進化します。その結果、古いマップが現状と乖離してしまうことがあります。
解決策
・定期的に顧客データを更新し、新しい行動パターンやトレンドを反映する。
・季節性やイベント(例: 年末商戦)に応じたマップの見直しを行う。
・顧客インタビューやアンケートを継続的に実施し、新しいインサイトを取り入れる。
3定量データと定性データをバランス良く活用する
定量データ(例: 購買率、クリック数)に偏りすぎると、顧客の感情や思考を十分に反映できないマップになりがちです。一方で、定性データ(例: インタビュー、口コミ)のみに頼ると、全体像を見失うこともあります。
解決策
・定量データを活用して顧客行動のパターンを明確化。
・定性データを用いて、顧客が抱える具体的な課題や感情を深く理解。
・両者を統合したマップを作成し、データに基づく具体的な改善策を提案。
テンプレートで簡単!カスタマージャーニーマップを作成しましょう
テンプレート 1. シンプルでわかりやすい表スタイル
Webマーケティングメディア「ferret」が提供するテンプレートでは、カスタマージャーニーを「認知」「関心」「コンバージョン」の3つのステージに分けています。このシンプルなフレームワークは、初心者や顧客の購買プロセスや思考・心理の変化を大まかに理解したい場合に適したものです。
無料ダウンロードはこちら>>ferretMedia カスタマージャーニーテンプレート
テンプレート 2. ステージごとに展開するブックレットスタイル
ブックレット型のこちらのテンプレートは、収集した顧客の声からグラフィックを組み合わせ、ペルソナの思考や感情・行動だけでなく、各ステージやタッチポイントに関わるタスク や課題を同じシート上で自由に具体化することを可能にします。(ソース)
テンプレート 3. 非直線的なリゾームスタイル
IKEAのカスタマージャーニーマップは、オンライン(WebサイトやSNS)から店舗内(ショールームやレストラン)、店舗外(カタログやデリバリー)まで、多岐にわたる顧客接点を統合的に示しています。リゾーム的な非線形的な旅路を想定し、顧客が自由に行き来できる複雑な経路を描くことで、多様な顧客行動を包括的に捉えています。特に、多チャネルマーケティングやリテール業界の戦略を立案する担当者にとって、顧客体験を具体的に可視化し、接点ごとの影響を分析するための有用なツールとなります。(ソース)
テンプレート 4. デザインツールmiroのテンプレート
デザインツールMiroのカスタマージャーニーマップ(CJM)テンプレートは、直感的で柔軟性の高いデザインが特徴です。視覚的に洗練されたインターフェースを活用し、ドラッグ&ドロップ操作で簡単にカスタマイズできるため、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応しています。また、コラボレーション機能が充実しており、リアルタイムでチームメンバーと作業を共有しながら、フィードバックを即座に反映することが可能です。テンプレートには、顧客の感情や接触点、行動を整理するための基本フレームワークが用意されており、特定のニーズに合わせて調整可能です。このような特徴により、MiroのCJMテンプレートは、顧客体験を深く理解し、効率的に可視化するための強力なツールとなっています。
無料ダウンロードはこちら>>miroカスタマージャーニーテンプレート
テンプレート 5. MarTechツールを使って自動作成されたマップ
ここまで、さまざまなテンプレートや作り方を解説してきましたが、もしすべての作成過程を自動化することができたら最も効率的ですよね。Crescendo LabのMAACを活用すれば、なんとLINEと連携させたカスタマージャーニーを自動で設計することができます。タグや公式サイト上の行動データなどを元に、その顧客に適した段階を踏んで自動で会話を進めることで購入へと誘導することも可能になります。新規顧客から既存顧客、ロイヤルカスタマーにまで対応するUXデザイン自動化ツールもぜひチェックしてください!
カスタマージャーニー自動作成に関する記事はこちら>>カスタマージャーニー自動作成|AIで簡単・効率的にUXデザイン
まとめ
本記事では、カスタマージャーニーマップの定義から作成手順、注意点、今すぐ使えるテンプレートまでを網羅的に解説してきました。カスタマージャーニーマップは、顧客体験を深く理解し、より良いサービスやプロダクトを提供するための強力なツールです。特に、テンプレートや自動化ツールを利用することで、初心者でも効率的かつ効果的にマップを作成でき、顧客体験の可視化が簡単になります。本記事で紹介した知識をもとに、ぜひ実際にマップを作成し、顧客の視点に立った改善を試みてみてください。課題の発見や新たな施策のヒントに繋がりますように。