クレッシェンドラボ 2026年Q2 新機能発表
はじめに
現在、世界中の企業が自律型の「AIエージェント(Agentic AI)」に注目しています。日本においても経済産業省が、領域特化型のAI開発を手掛ける企業に対し総額100億円規模の支援を行う方針を固めるなど、国内外でAIエージェントへの投資はますます加速しています。
しかし、急速に盛り上がる一方で、「これだけ投資して、本当に現場で役に立つのか?」「結局、どうやって自社の利益につなげればいいのか?」といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか。
経営戦略においてもっとも重視されるのは、売上の向上と確実なROI(Return on Investment)です。私たち、AI-Firstをカルチャーとするクレッシェンドラボは、AIエージェントを企業が正しく活用するには、部署を横断してばらばらなデータをつなぎ続ける「データの循環(クローズドループ)」の仕組み構築が不可欠だと考えています。

なぜ多くの「AIエージェント」が成果につながらないのか
多くのツールは「AIが自ら考えて動く」と紹介されていますが、実態はサイロ(分断)化されたデータの上に自動化を重ねているケースが多々あります。
コンテキスト(文脈理解)も、成果を次に活かす仕組みもないまま、誰にでも同じマーケティング施策やメッセージを送るだけになっている。大量配信ツールに「エージェント」と名付けても、自ら学習して賢くなるわけではなく、ただ配信量が増え、ノイズになる可能性が高まります。
一般的なAI自動化は、データが分断されたまま個別のツールを重ねるため、画一的で浅い対応になりがちです。クレッシェンドラボはまず「データの循環」という土台を整え、収集から実行、成果のフィードバックまでを一本の線でつなぎます。これにより、使うほど自動で賢くなり続けるAI自動化が実現します。
これは最初の設計の問題であり、土台を整えれば解決できます。私たちは、その土台を、Capture(収集)・Context(コンテキスト化)・Intelligence(知能化・実行)の3つの柱として整理し、定義しております。これがCCIフレームワークです。
前回の2026年Q1の新機能発表会では、分断データを「ライブデータ」にする方法を紹介しました。今回の2026年Q2の発表では、そのライブデータをAIの頭脳に与え、成果につなげる3つの仕組み、すなわちCCIフレームワーク(収集 → コンテキスト化 → 実行)の流れで説明します。
AIエージェントとは?
AIエージェント(エージェンティックAI)とは、人間が細かく指示を出さなくても、AIが自ら状況を判断し、最適なアクションを実行・改善する自律型AIの仕組みです。
CCIフレームワーク:AIエージェントの能力は、いかにデータを循環させられるかにかかっている

- Capture(上位ファネル/収集):最初の接点で生まれる断片的・匿名のシグナルを取りこぼさず捉え、次の段階へ引き継ぐ。
- Context(中位ファネル/コンテキスト化):チャネルをまたいだ顧客コミュニケーションを積み重ね、顧客が「認知」から「検討」へ進む間も会話を途切れさせない。
- Intelligence(下位ファネル/知能化・実行):蓄積したデータを、購入につながる判断や一人ひとりへの提案に変える。
入り口・中間・出口、そして成果を入り口に戻す「フィードバック」。これらが揃って初めて、単なる「ファネル」ではなく自律的に回り続ける「データの循環」になります。

まず土台となるデータ循環の仕組みを整える(Loop first, Agentic later.)。自律的なエージェントは、循環が回った結果として生まれるものです。
データの循環(クローズドループ)とは
「収集 → コンテキスト化 → 実行」という流れが、途切れずに回り続けている状態です。前回のQ1の「ライブデータの活用」に、今回のQ2で「成果のフィードバック」が加わることで、ループが回り続けます。
第一の柱 Capture(上位ファネル/収集)- 最初のシグナルを取りこぼさない
デジタルの世界では、顧客はInstagramやfacebookのコメント、広告への返信、LINEキャンペーンのクリックなど、さまざまな接点からやってきます。
しかし、各SNSやウェブでのリアルタイムな動きと、自社の顧客管理システム(CRM)のデータが連動していなければ、いざCRMを開いたときには「なぜ自社に興味を持ってくれたのか?」という顧客の深層ニーズや背景が曖昧なままになってしまいます。
顧客情報が分断され、データが統合されていない環境では、AIエージェントに賢く対応するための「判断材料」が与えられません。その結果、顧客一人ひとりの潜在ニーズを正確に捉えることが困難になります。
そこでクレッシェンドラボは、この「データの断絶」を解消すべく、当四半期(Q2)に「顧客との接点を滑らかにつなぐウィジェット拡張機能(Growth Widget)」のアップデートを実施しました。これにより、AIエージェントのパフォーマンスを最大化させるための基盤を強化しております。

新機能 1-1. Ads to Chat(広告連動型チャットボット最適化ソリューション)
主要広告(Google/Meta)のクリックからチャット対応への移行を自動化。適切なシナリオ分岐により接客効率を高めると同時に、成果データを広告側へと循環(クローズドループ)させることで、広告運用の計測精度と配信最適化を同時に実現します。※「Ads to Chat」は日本国内での展開を近日予定しております。
新機能 1-2. Social Automation(マルチSNS対応・自動エンゲージメントソリューション)

InstagramやMetaのストーリーズやDMに自動で応対することで、熱量の高い顧客の意図を逃さずにLINEへとスムーズに案内します。さらにThreadsやXでの自動投稿やキーワード監視機能にも対応する予定で、SNS運用の手間を大幅にカットできます。
顧客との「最初の接点」で生まれる行動データを、いかに正確にキャッチできるか。実はこれこそが、その後のマーケティングが成功するかどうかの分かれ道です。この初期データをAIエージェントにそのまま引き継ぐことで、AIの分析や対応の精度がぐっと高まり、導入したその日から、顧客一人ひとりに合わせた最適なアプローチが可能になります。
第二の柱 Context(中位ファネル/コンテキスト化)- 接客内容を忘れない

例えば、顧客を「スキンケアに関心あり」という断片的な情報だけでセグメント・分類しても、一人ひとりに合わせた特別な接客はできません。
本当に必要なのは、いつ、どのチャネルで、どんなトーンでやり取りをしたかという「会話のディテール」まで蓄積すること。このデータの濃さこそが、AI接客の質を劇的に高めます。これは単一チャネルでは実現できず、あらゆる顧客接点をまたいで会話をつなぐオムニチャネルの設計が前提になります。
新機能 2-1. EDMブロードキャスト(マルチチャネル統合・顧客ナーチャリング)

Q2の機能強化により、従来のSMSやSNS対応に加え、メールによる中長期的なアプローチが可能になりました。LINE・SMS・メール・SNSを横断して一貫した体験を届けるLINEマーケティングや生成AIマーケティングの実践においても、この「データの濃さ」が成果を左右します。
最大の強みは、あらゆる接点から得たデータがバラバラにならず、1つの顧客カルテに統合されていく点です。これまでの対話のストーリーをAIエージェントが完璧に記憶・把握しているため、チャネルが変わっても顧客を迷わせず、信頼感を高めるパーソナライズ・アプローチが実現します。
第三の柱 Intelligence(下位ファネル/知能化・実行)- データを活用
主要チャネル、例えばLINEの対話記録とECなどの顧客購買データが分断されている環境では、AIエージェントは誤対応を防ぐために「あえてアプローチを控える」という安全策を取ってしまいます。優れた自律型のポテンシャルを持っていても、正しい判断材料がなければAIは機能しません。
クレッシェンドラボは今回のQ2で、この課題を根本から解決し、AIエージェントの“背骨(意思決定の軸)”となるクロスチャネルのデータ統合環境を構築しました。
新機能 3-1. 統合コンタクト(Unified Contact)
LINE・SMS・Eメールに分散していた顧客IDを完全に一つに統合。一人の顧客に対し、一つのプロフィールと、すべてのチャネルを網羅した一つの履歴(ストーリー)を提供します。データの断絶をなくすことで、AIエージェントが顧客のニーズを正しく読み解き、自律的に動くための「意思決定の軸」が構築されます。 ※日本では7月中旬以降に提供開始を予定しております。
新機能 3-2. ECデータ連携機能(Commerce API)
注文情報・ポイント・配送ステータスをはじめとするECデータをCAACへリアルタイムに同期します。システム間の分断をなくすことで、運用の工数を大幅に削減。常に最新の顧客状況がアップデートされるため、チャネルを横断した高度なパーソナライズ接客を支えるデータインフラとして機能します。
新機能 3-3. 全チャネル対応履歴ビュー(Engagement History)

あらゆるチャネルでの対話履歴を、CAAC上の「単一のタイムライン(ひとつの画面)」としてリアルタイムに可視化します。過去のやり取りをチャネルを横断して一目で把握できるため、現場での対応漏れや、顧客への「何度も同じことを聞き直す」といったストレスを完全に排除。スタッフやAIエージェントが、常に過去の文脈を捉えた、シームレスで質の高い顧客対応を行うための共通基盤として機能します。
統合されたプロフィールの上で、AIエージェント機能も強化されました。CAACのAIエージェントは、カスタマーサポートAIとして注文・会員・配送のQ&Aに自動対応しつつ、“接客がそのまま販売につながる”(Service-is-Selling)提案も行い、AI解決率+20%、対応完了時間(TTR)−30%という成果が出ています。※ クレッシェンドラボ独自調査
Web Pushの離脱意図プッシュ(ページを離れようとする訪問者にリアルタイムで"引き止め"ポップアップを表示し、LINE友だち登録を促す)、Web SDKリードキャプチャ(離脱ポップアップで匿名訪問者をファーストパーティデータに変える)、通話履歴(通話内容をAI要約・文字起こし・録音として自動で記録し、検索できる資産にする)も、同じ統合プロフィールを活用します。

AIエージェントは、単体で成果を生み出すツールではなく、「質の高いデータを、いかに正確に読み解くか」が肝になります。だからこそ、マーケティングファネル全体を網羅した「統合プロフィール」が必要不可欠です。すべての行動データが一本の線で繋がって初めて、AIエージェントは真の力を発揮し、企業の「売上」に直結する的確なアプローチを導き出せるようになります。
最後に - データの循環を繰り返す
あらゆるチャネルの出口で生まれる貴重なデータをデータ基盤へリアルタイムにフィードバックする。この仕組みがあって初めて、システムは単なる工程の追加ではなく、価値を生み出し続ける理想のループ(循環)として機能します。
クレッシェンドラボが2026年にリリースしたDAAC AI Studioは、このデータ循環を形にするためのシステムです。未整理のデータを自動でクレンジング・構造化し、顧客プロフィールへ即座に反映。常に最新の顧客状況がアップデートされる、ブレないデータ基盤を構築します。

さらにAI Insights Reports(AIシナリオ分析/AIインサイト)が成果をビジネスの言葉に翻訳し、MAACのシナリオ配信設計に自動で反映されます。
会話のデータがタグを磨き、タグがセグメントを磨き、セグメントがシナリオを磨き、賢くなったシナリオがよりLTVを高める良い顧客コミュニケーションを生む。これこそが、CCIフレームワークが目指す「真のデータ循環」です。
一度このサイクルが回り始めれば、データは自走するように循環を深めていきます。ループを1周、また1周と重ねるごとにAIの精度は自動的に磨かれ、やがては特定の機能にとどまらず、あらゆる製品ラインを横断して拡大(スケール)し続ける「AIエージェント」の強固な土台となります。

まとめ:Q2は「土台」、Q3は「成果」
クレッシェンドラボがQ3以降に提供を予定している、完全自律型AIエージェント。これは単体で突如機能するものではなく、マーケティングファネル全体をデータ循環で繋ぐことで、初めてその真価を発揮します。
この確かなデータ基盤があってこそ、AIによる自律的な最適化は必然となり、リードの最大化やコンバージョン率の向上、CACの最適化、さらには持続可能な売上拡大という目に見える成果として結実します。
クレッシェンドラボのAIが変える顧客コミュニケーションのこれから。新機能を踏まえて、ぜひAI時代の顧客コミュニケーションは私たちにご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q. AIエージェントとは何ですか?
A. 人間の指示をその都度待つのではなく、AI自らが計画を立て、複雑なタスクを柔軟に実行・適応していく「自律型AI」のことです。ただし、これを実現するには「統合されたデータ」と「成果がリアルタイムに反映される循環」が不可欠です。この土台がなければ、どれほど高度なAIであっても、形だけのシステムで終わってしまいます。
Q. なぜデータの循環が重要なのですか?
A. データがチャネルごとに分断されていると、AIの判断の質が著しく低下します。データが常に循環していれば、あらゆる会話、取引、そして現場の成果がリアルタイムに顧客プロフィールへと還っていきます。その結果、AIは「前回よりも常に賢いネクストアクション」を自動的に導き出せるようになります。
Q. CCIフレームワークとは?
A. Capture(収集)、Context(コンテキスト化)、Intelligence(知能化・実行)の頭文字をとった、いわば「AIの脳の設計図」です。散らばったデータを正しく整え、それをAIの知能へと繋ぐことで、本当に自律して動く強力なシステムを構築するための、クレッシェンドラボ独自の基本思想です。
Q. オムニチャネル対応はAIをどう賢くするのですか?
A. 単一のチャネルだけでは、顧客のニーズの「断片」しか見えないからです。LINE、SMS、Eメール(EDM)、音声通話、SNSといったあらゆる顧客接点を横断して繋ぐことで、一連のストーリーとしての行動履歴が浮き彫りになります。だからこそ、AIは顧客の文脈を深く理解し、的確な提案や応答ができるようになります。
Q. 一般的なAI自動化とどう違うのですか?
A. 一般的な自動化は、データがバラバラな状態のままツールを重ねるため、画一的で浅い対応になりがちです。一方、クレッシェンドラボはまず「データの循環(土台)」を徹底的に整えます。「入口でのデータ収集」から「チャネル横断での統合」、そして「CAACやMAACでの自律実行」、最後の「DAAC AI Studioによる成果のフィードバック」までを一本の線で一貫させます。これにより、時間が経っても劣化せず、使えば使うほど自動で改善し、賢くなり続ける真の自動化が生まれます。
Nari Fujiie
LINEマーケティングとAI活用の最新トレンドをわかりやすく発信し、貴社のマーケティング課題解決に役立つインサイトをお届けします。

